生体内反応では、高選択的な分子認識を通じて、酵素が反応を触媒し、高度な基質選択性を発現する。特に、タンパク質のアミノ酸配列が、核酸塩基配列(コドン)によるアミノ酸モノマーの特異的認識によって制御される点は、分子認識に基づく重合制御の重要性を物語っている。一方、申請者が研究してきたリビング重合では、触媒や開始剤の設計により重合活性種の副反応を抑制し、ポリマーの分子量や末端構造の精密制御が可能となる。しかし、生体内重合に迫る高度制御(立体構造と分子量の同時制御、共重合組成の任意制御、繰り返し単位(機能基)の配列制御など)を実現するには、新たな制御原理、触媒機構が求められる。
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