研究課題/領域番号 |
23655113
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
荒木 保幸 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80361179)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 蛍光 / 円二色性 / 和周波 |
研究概要 |
光学活性な化合物が吸収スペクトルに対応した円二色性(Circular dichroism, CD)を、蛍光スペクトルに対応した蛍光円二色性(circular polarized luminescence, CPL)を示すことが知られている。CDは、キラリティが本質的な生体分子の検出同定法として広く用いられているが、CPLに関しては測定手法の煩雑さ、市販されている機械が高価であるなど、その有用性に対して、広く普及しているとは言えない。 しかしながら、昨今、GFPに代表されるような蛍光タンパク質など、本質的にCPLを発する生体分子が細胞内現象のマーカーとして広く使われるようになり、蛍光検出を基盤としたCPL検出法は、複雑なタンパク質間相互作用の検出とその理解に多大な貢献をするもとの考えられる。本申請では、CPLの新規検出法として、蛍光和周波検出法を応用し、それを生体機能分子検出とその理解へ応用することを試みた。 初年度は、既存のフェムト秒レーザーシステムを活用した蛍光和周波測定システムを構築し、用いるレーザーの偏光に着目したCPL測定のための準備を行う。また、本研究で実証を試みるCPLの測定では、通常の蛍光和周波測定法と比較し、和周波の発生効率が高くないことが予想されるため、高い蛍光量子収率をもちつつCPLを原理的に発生するように設計された、光学活性分子を用いることを考慮する。また、発生効率が高くないために、とくに実証実験中は長時間の信号の積算が必須と考えられる。そのため、耐光性をも考慮に入れた、CPL発生色素を設計し、合成を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度において、現有設備であるフェムト秒Ti:Sapphireレーザーを利用した、蛍光アップコンバージョン法によるCPL検出システムを構築した。また、理論的に、蛍光アップコンバージョン法で用いるゲート光を円偏光とする場合において、初期レーザー偏光面とその垂直面でのアップコンバージョンされた蛍光強度に強度変化が観測されると予測されるため、現在発生した和周波の偏光に着目した光検出器を配置する作業を続行中である。比較的順調に和周波測定法の構築は推移していると考えている。また、本手法で用いるCPLを高効率で発生する試料としてペリレンジイミドをクロモフォアとして有する光学活性化合物を新規に合成する予定であり、昨年度はその原料の合成を行った。ペリレンジイミドを2分子含み、その位置がキラルに固定された分子を構築する必要があるが、原料の合成は比較的スムーズにおこなえているものの、キラルに配置するための化学合成にやや問題がみられる。そのため、現在合成ルートの再検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、現在検討中のペリレンジイミドをクロモフォアとするCPL発生分子の合成を完結させる。H23年度では、化学合成が遅延したため、予定されていた支出が次年度へ繰り越されている。このため、今年度は、まず早い時期にCPL発生分子合成にめどを立てる。ペリレンジイミドの耐光性を考慮すると、ごく少量の試料を合成することができればよい。必要であれば、化学合成を化学メーカーに依頼することも考慮する。現在検討しているCPL発生分子は、新規化合物であるため、この段階で、適切な科学雑誌に研究内容を報告することを考えている。試料を入手後、構築済みの蛍光和周波測定によるCPL測定の実証実験をおこなう。 その後、蛍光を発するタンパク質、具体的には、GFPやPYPなどの蛍光タンパク質のCPL測定をおこなうことで、研究の最終目的である生体物質のCPL測定へとつなげていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度には、以下のように研究費を使用する。(2、470、000円)まず、CPL発生分子の化学合成のために、消耗品として、適切量の有機溶媒、化学試薬、またガラス器具を購入する(計800,000円)。この費用は、平成23年度に計画していた化学合成研究を次年度に引き継ぐことによって生じたものであり、延期した化学合成実験に必要な経費として平成24年度請求額と合わせて使用する予定である。次に、和周波発生法のために、現有設備のフェムト秒レーザーシステムを活用する必要があるが、適切な和周波発生のために、フェムト秒レーザーシステム内部のミラー等のバージョンアップするなど、光学部品購入費を計上する(計800,000円)。和周波発生実験のためには、非線形結晶を用いる必要があるが、今年度新規に購入する(計300,000円)。和周波発生効率が原理的に高くないと予想されるため、レーザーの高繰り返しを最大限利用した積算システムを検討する。そのための、測定機器を準備する(計500,000円)得られた結果を、適切な学会等で発表するために、旅費を申請する(100,000円)
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