研究概要 |
光学活性な化合物が吸収スペクトルに対応した円二色性(Circular dichroism, CD)を、蛍光スペクトルに対応した蛍光円二色性(circular polarized luminescence, CPL)を示すことが知られている。CDは、キラリティが本質的な生体分子の検出同定法として広く用いられているが、CPLに関しては測定手法の煩雑さ、市販されている機械が高価であるなど、その有用性に対して、広く普及しているとは言えない。しかしながら、昨今、GFPに代表されるような蛍光タンパク質など、本質的にCPLを発する生体分子が細胞内現象のマーカーとして広く使われるようになり、蛍光検出を基盤としたCPL検出法は、複雑なタンパク質間相互作用の検出とその理解に多大な貢献をするもとの考えられる。本申請では、CPLの新規検出法として、蛍光和周波検出法を応用し、それを生体機能分子検出とその理解へ応用することを試みる。 平成24年度においては、本手法で用いるCPLを高効率で発生する試料としてペリレンジイミドをクロモフォアとして有する光学活性化合物を新規に合成することに成功した。合成した、キラルなペリレンジイミド2量体は、比較的良好な収率でR-,S-体両方の合成を行うことができた。今回用いたい合成手法は、比較的汎用性の高い手法であり、クロモフォアを変えることで多種多様なCPL標準試料の合成へと展開できると考えらえる。また、この試料を用いた和周波選択的なCPLの測定原理について、今後の研究展開のための基礎的なデータを得ることができたとともに、それに平行して、CPLのフォトンカウンティング法を用いた新たな測定原理の可能性について、新たな知見を得る事ができた。 今回の研究成果をもとに、CPL測定について新たな視点からの研究の発展が可能となった。
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