本研究では、環状N6配位子のPd三核錯体が、溶液中で4種の構造・立体異性体を同時形成し、自己組織化により約2 nm径の単結晶ナノチャネル構造を形成することを見出した。チャネル内には、5種類の鏡像体対のポケットと様々なタイプの水素結合部位が整列している。ゲスト吸着実験では、単結晶をゲスト溶液に一定時間浸し、単結晶X線構造解析により、ゲストの位置と吸着様式を決定した。この方法により、種々の芳香族化合物、金属錯体触媒、生体関連分子等の吸着部位を特定しマッピングを作成した。また、異なる複数のゲストを位置選択的に同時吸着することに成功し、チャネル内の多成分分子間反応に展開しつつある。
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