当初の計画では、糖質を強力に認識する分子から有機触媒の開発の方向への展開を予定していた。しかし、単糖を認識する人工ホスト分子として設計したピリジン/フェノール交互型大環状分子が、想定よりもはるかに強い糖認識能を有することが、初年度の成果や分子モデルのDFT計算から示唆されたことから、糖認識の障害となっていたホスト分子のみでの自己集合を阻害するべく、分子設計に改良を重ねていった。その結果、グルコシドとの間に、900,000 /M という非常に高い会合定数が得られた。その値はなお自己集合により減殺されたものであり、自己集合を完全に阻害できればレクチンにも匹敵する糖認識能を期待させるものであった。
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