研究課題/領域番号 |
23655127
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田村 類 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (60207256)
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キーワード | メタルフリー磁性キャリアー / メタルフリー磁性粒子 / 磁性ミセル / 磁性エマルション / 磁性ゲル / 両親媒性ラジカル化合物 / MRI造影剤 / 磁性ソフトマテリアル |
研究概要 |
これまで、磁性ソフトマテリアルの磁性ソースとして、鉄や酸化鉄のナノ粒子が用いられてきたが、生体内での安全性については十分な理解が得られていない。一方、有機ニトロキシドラジカルの生体にたいする安全性は十分に検討されており、磁性ソースとして有機ニトロキシドラジカルを含むメタルフリーな磁性ソフトマテリアルが開発されるならば、それらの人体への応用も十分視野に入れることができると考えられる。そこで、本研究では、平成23年度に引き続いて、ドラッグデリバリー用のメタルフリー磁性キャリアーやMRI造影剤用のメタルフリー磁性粒子の開発を目指して、界面活性剤を示す両親媒性有機ニトロキシドラジカル化合物の合成とそれらを用いる磁性ミセルやエマルジョンの調製を検討した。 その結果、安定なメタルフリーな磁性エマルションを調製することのできる、トリメチルアンモニウム基を親水性基とする新規のキラル両親媒性ニトロキシドラジカル化合物の合成に成功した。この化合物が水中で安定なミセルやエマルションを形成することを確認した。特に、中性の油性ニトロキシドラジカルを内包したマイクロエマルション(粒径0.1ミクロン)は、水中やリン酸緩衝液中で長期間安定に存在し、弱い永久磁石に引きつけられて水中を自由に動くことが判明した。この結果は、低磁場誘導型のメタルフリー磁性キャリアーや磁性粒子として利用できることを物語っている。現在、MRI造影剤としての応用を検討中である。 次に、アミノ酸残基を親水性基とする新規のキラル有機ニトロキシドラジカル化合物がヒドロゲルを形成することを明らかにした。 また、これらの両親媒性物質の臨界会合濃度や相転移挙動を電子スピン共鳴法により決定、追跡できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、研究目的の一つであるメタルフリー磁性エマルションの調製が可能である両親媒性有機ニトロキシドラジカル化合物の合成に成功している。さらに、アミノ酸を導入した光学活性な類似の両親媒性ラジカル化合物を用いると、磁性ヒドロゲルの調製が可能であることを見出している。このように、研究の方向性が明らかになった点が高く評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度までの2年間に、研究の方向性が明確になったため、平成25年度もその流れを踏襲して研究計画を具体化して、メタルフリー磁性エマルションの調製と活用、およびメタルフリー磁性ゲルの磁気的性質と分子構造との関係について検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度も直接経費90万円については、薬品類や論文別刷購入などの消耗品費として60万円、研究成果発表のための旅費として30万円を予定している。
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