研究課題
平成25年度は放射型π共役系の結合した有機巨大環状分子の合成をまとめる研究に取り組んだ。表題分子はその全合成が鍵となるので、大学院学生および博士研究員と共に積極的に合成研究を行った。具体的には、平成23年~25年において幾つかの異なる巨大環状共役系の合成を計画し、研究を進めた。その結果、ベンゼン環をオルト位およびパラ位で連結した巨大環状ペンタデカフェニレン、チオフェン環をアセチレンおよびエチレンで連結したπ拡張巨大環状オリゴチオフェン、およびビス(トロポナト)遷移金属錯体を連結した巨大環状三核錯体を合成することができた。これらの有機巨大環状分子はその内部空孔にフレー連類を取り込んで錯体を作るので、フレーレン類を放射型π共役系と見立てて、巨大環状分子と内部に位置するフラーレンとの相互作用およびフラーレンを通しての巨大環状分子のユニット間の相互作用を調べた。その結果、巨大環状分子とフラーレンとの電荷移動相互作用、および、巨大環状オリゴチオフェン-フラーレン錯体では光照射に誘起される伝導性を見出すことができた。平成25年度では、特に、環状ペンタデカフェニレン-C60錯体が作るゲルの構造と物性、およびビス(トロポナト)パラジウム錯体を連結した巨大環状三核錯体の構造と機能を調べ、前者のキセロゲル中のファイバーの構造とファイバーへのC60のインターカレーション、および、後者巨大環状三核パラジウム錯体のC60の取り込みを詳細に検討し、新しい有機巨大環状分子の構造と機能を解明することができた。
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