研究概要 |
グリコウリルからcucurbit[n]uril Q[n](n=5,6,7,8,etc)を合成し、その混合物からQ[5]、Q[6]、Q[7]を効率的に単離精製するはクロマトグラフ分離法を確立した。通常のゲスト分子の包接に適したサイズの空洞を有するQ[7]を確かな手法で入手できるようになったことは特筆すべき点である。 アンモニウム陽イオンがQ[7]の空洞の奥に取り込まれる新しい包接現象を解明することは分子認識に対する理解を深めるだけではなく、超分子設計にも新たな可能性を生み出すと期待される。本研究では様々のコリン類縁体をゲスト分子として、競争的蛍光滴定やカロリメトリー滴定法などにより、Q[7]と各種のゲストとの結合能を評価する。これらの結果から、Q[7]の包接挙動に関する重要な知見を得た。 グリコウリルおよび二置換グリコウリル誘導体から二置換Q[6]の合成は一例報告されているが、コリンの包接に適切な空洞径をもつQ[n]の一または二置換体について報告例は皆無である。本研究では、グリコウリルおよびメチルグリコウリルからメチルQ[n]誘導体の合成・分離法の確立を図った。現在、メチルQ[6]の合成・分離精製・構造決定に成功している。また、メチルQ[6]はQ[n]と類似した包接能を有することも確認した。
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