研究概要 |
①Q[7]とアンモニウム、スルホニウム、ホスホニウムなど多種のオニウム化合物およびそれらと形状が類似した中性の分子との包接挙動について、競争的蛍光測定法およびNMRにより評価を行った。結合能はゲスト分子の大きさと形状に大きく依存することを解明した。また、トリメチルアンモニオなどのオニウムイオンおよびトリメチルシリル、tert-ブチルなどの中性基は、荷電状態を問わずいずれもQ[7]の空洞に強く結合するが、活性化エネルギーがそれぞれ明白に異なることを明らかにした。 ②Tulobuterol, vecuronium, neostigmine, succinylcholineを含む多種の薬物分子に対するQ[7]の結合能を測定した。vecuroniumに対して強い結合能が認められたが、文献に報告されたシクロデキストリンsugammadexのそれに及ばなかった。面白いことに、succinyl cholineに対してQ[7]はその空洞経に適したオニウム部ではなく中央のsuccinyl部に結合する。 ③脂肪族カルボン酸をQ[7]との結合挙動を競争的蛍光測定法およびNMRにより評価した。カルボン酸きがQ[7]の空洞に結合し、結合エネルギーは炭素数(C8まで)に比例して増加することを解明した。 ④Q[7]を30%以上の収率で得られる新しい合成法を確立した。 ⑤前年度から着手したQ[n]の酸化(Kimらによって報告されている)を継続し、多大な精力を費やしたが、目的物を得ることができず、Q[n]の官能化は今後の課題として残ることになる。
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