研究課題/領域番号 |
23655141
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
海野 雅史 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20251126)
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研究分担者 |
花屋 実 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50228516)
板橋 英之 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40232384)
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キーワード | リサイクル / グリーンケミストリー / ケイ素試薬 / 直接合成 |
研究概要 |
産業廃棄物からケイ素を高濃度で含む分画の抽出については、以下のような最適条件を見出し、ケイ素をシリカとして88.4%と、高濃度で含む白色固体の分離に成功した。分離方法は以下の通りである:焼却灰37.5 gに水を500 ml加えて30分攪拌し,吸引ろ過後,その残渣に2.8 M硝酸を100 ml加えて1時間攪拌し重金属を除去した.次に,得られた残渣を水により洗浄,乾燥させ,桑原らの方法[105th CATSJ Meeting Abstracts, 52 (2010) p. 77] に従い,水熱合成を行った.得られた固体をエネルギー分散型蛍光X線 (EDX),結晶構造をX線回折 (XRD)により分析し元素組成を決定した。 次に、シリカからケイ素試薬へと変換するモデル反応として、かご状のヘキサシルセスキオキサンから、骨格のSi-O結合を開裂させて、より安定なオクタシルセスキオキサンへと導く反応の条件検討を行った。種々の試剤、条件を検討した結果、以下の方法が最も収率よく目的物を与えることが明らかになった:フェニル置換のヘキサシルセスキオキサン(Ph6Si6O9)に触媒量のTBAF(テトラブチルアンモニウムフロリド)をTHF中加え、室温で撹拌した。生成物を濃縮し、得られた固体をクロロホルムで洗浄することで、目的のオクタシルセスキオキサン(Ph8Si8O12)を5%の収率で得た。本反応では、かご状シルセスキオキサン以外に、環開裂により生成した部分かご状化合物やオリゴシロキサンが生成することが予想されており、今後オクタシルセスキオキサン以外の生成物の同定を進める予定である。さらに、本反応を高濃度でケイ素を含む固体に適用し、ケイ素化合物の単離を目指す。
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