研究課題
天然物でVOC(揮発性有機化合物)検出用センサーの設計を目指している。理想的な原料は,天然の粘土鉱物とアミノ酸(またはタンパク質)である。層状の粘土鉱物(以下粘土鉱物と呼称)と有機物との複合体を規則的な球状粒子に被覆した粒子を調製し,これを基板上に配列するという方法で設計する。VOCの吸着に伴って,球状粒子の体積が増加すれば,同時に球状粒子間距離が増大するので構造色の変化が期待できる。この原理に基づいてVOC検出が可能な感応体の設計を行った。本系の特徴は,色素等の発色団を必要としないことである。単分散球状シリカ粒子表面への粘土鉱物の被覆を試みた。球状シリカと粘土鉱物源としての塩化マグネシウムおよびフッ化リチウムを尿素共存下で水熱反応させると,尿素が一部加水分解されて水酸化物イオンを精製し,シリカが一部溶出するとともに水酸化マグネシウムが生成する。その結果,シリカ表面を粘土鉱物で被覆したコアシェル型粒子を調製できることがわかった。シリカ粒子が一部溶出し粘土鉱物の原料の一部となる,いわゆる犠牲鋳型法で得られるため,シリカと粘土鉱物とは化学的に強固に接着するという特徴がある。また,得られたコアシェル粒子には陽イオン交換性があり,長鎖アルキルアンモニウムイオンが吸着され,層間距離が増大した。この構造変化に伴って,粒子径の増大も見られた。さらにガラス基板上に粒子を配列させると構造色を呈したことから,VOC検出の可能なセンシング材としての可能性が示された。
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