研究課題/領域番号 |
23655147
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
大浦 健 名城大学, 農学部, 准教授 (60315851)
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研究分担者 |
坂口 眞人 静岡県立大学, 環境科学研究所, 教授 (40113328)
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キーワード | 機械的破壊 / メカノケミカル反応 / セルロース / ブロック共重合体 |
研究概要 |
本年度は、微結晶セルロースとメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)、アルミナボール(φ<2mm)をガラス管に入れ真空室温条件下で封管し、機械的破壊することで合成されたセルロース-co-poly HEMAの高次構造を評価した。1H-NMRスペクトルから合成物の立体規則性の割合を求めたところ、1時間機械的破壊を行った試料は、アイソタクチック構造が39.1%,アタクチック構造が13.1%,シンジオタクチック構造が47.8%と求められた。さらに6時間機械的破壊を行った試料はアイソタクチック構造が14.5%,アタクチック構造が38.2%,シンジオタクチック構造が47.3%であったことから、機械的破壊に対してシンジオタクチック構造は変化せず、アタクチック構造による連鎖が進行していく傾向がみられた。よって、重合初期のセルロース鎖はHEMAの重合に対して立体障害となり、HEMAの立体配置を決定づける要因となっていることが示唆された。さらに、合成されたセルロース-co-poly HEMAの物性評価として、マンガンの吸着を行ったところ、未反応のセルロースに対してセルロース-co-poly HEMAのマンガン吸着量は減少した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
合成されたセルロース-co-poly HEMAは、当初推定していなかった光学活性を有することを見出した。本成果は今後の不斉重合分野に大きな影響をもたらすと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
機械的破壊によるセルロース共重合体の合成は、反応時間の進行に伴い立体規則性を有することを初めて見出した。この成果は資源として豊富なバイオマスであるセルロースが不斉重合触媒として作用する可能性がある。今後はセルロースに様々な置換基を導入して、セルロースベース共重合体のキラリティー制御を試みる。更にキラリティーの違いによる物性の評価を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
セルロース誘導体の作成に使用する薬品、ガラス器具等、消耗品の購入に充てる。
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