研究課題/領域番号 |
23655165
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
加藤 義雄 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究員 (20415657)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 進化分子工学 / 蛍光 / RNA / 大腸菌 / 分子イメージング |
研究概要 |
本研究では、ランダム配列を有するRNAライブラリーを大腸菌内で発現させ、蛍光性の大腸菌を取得することによって、生体内で自発的に蛍光を発する新規RNA配列を獲得することを目指す。始めに、大腸菌内で短いRNAを高発現させる系の検討を行った。大腸菌内にて大量の遺伝子を発現させる最も有名な系としては、pETシステムが知られている。pETシステムでは、T7 RNAポリメラーゼをコードする大腸菌株BL21(DE3)とT7プロモーターを搭載したプラスミドを利用する。そこで短いRNAを発現する様に新規設計したプラスミド(pT7-Z)を用いて、BL21(DE3)に形質転換し、IPTGにて発現誘導を行った。しかしながら、種々条件において目的の短いRNAの発現が見られなかった。大腸菌内でのRNAの分解が原因と考えられたため、RNA分解酵素変異株であるBL21(DE3)Star株を用いてさらに条件検討をおこなったが、目的の短いRNAの発現はほとんど見られなかった。そこで文献例などを参考に、別のRNA発現系を検討する事にした。プロモーターには恒常的に発現するlppプロモーター、構造足場(スキャフォールド)としてtRNAを用いた。tRNAは大腸菌内においてRNA分解酵素から逃れる事が知られており、tRNAと融合させた短いRNAは、大腸菌内にて蓄積される事が期待される。tRNA(Met)およびtRNA(Lys)をスキャフォールドとして短いRNAを発現させたところ、特にtRNA(Lys)において大量にRNAを発現させられる事が分かった。大腸菌の5S rRNAよりも多く、10000分子/細胞以上のRNA発現が見られており、今後はこの系を使ったライブラリーの構築を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大腸菌内でRNAを大量に発現させる系の検討にやや時間を取られたが、その分、期待以上の系を作製する事ができた。今後は予定通り、ライブラリーの構築とスクリーニングを進めて行く。
|
今後の研究の推進方策 |
RNA高発現系をベースとして、大腸菌内でランダムなRNA配列を発生させ、蛍光性の大腸菌を取得する。同時並行で、細胞内微蛍光性低分子と結合するRNAをSELEXにより取得したものを初期構造として、上記スクリーニングを行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
上記計画研究のために、試薬消耗品費、学会参加および旅費を計画した内訳の中で執行する。
|