研究課題/領域番号 |
23655165
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
加藤 義雄 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究員 (20415657)
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キーワード | 進化分子工学 / 蛍光 / RNA / 大腸菌 / 分子イメージング |
研究概要 |
本研究では、ランダム配列を有するRNAライブラリーを細胞内で発現させ、蛍光性の細胞を取得することによって、生体内で自発的に蛍光を発する新規RNA配列を獲得することを目指す。RNAライブラリーとしては、ランダムなRNA配列50-100塩基程度を有する短いRNA配列を用いる。 初めに、細胞内でRNAを発現させる系として、大腸菌内にてRNAを大量に発現させる系を検討した。従来の報告例をもとに大量にタンパク質を発現するpETシステムをベースに種々の検討を行ったが、RNAの発現量が少ないことから、当初計画の変更を余儀なくされた。そこで別の文献例などを参考に、別のRNA発現系を検討する事にした。プロモーターには恒常的に発現するlppプロモーター、構造足場(スキャフォールド)としてtRNAを用いた。tRNA(Met)およびtRNA(Lys)をスキャフォールドとして短いRNAを発現させたところ、特にtRNA(Lys)において大量にRNAを発現させられる事が分かった。大腸菌の5S rRNAよりも多く、10000分子/細胞以上のRNA発現が見られており、今後はこの系を使ったライブラリーの構築を行う。 さらに、蛍光性のRNAとして機能が発揮されるためには、エネルギー的に比較的安定な構造を取る必要があるものと考えられる。そこで、完全にランダムな配列を出発点として進化分子工学を行うのではなく、ある程度の安定性を有する構造を出発点として、ライブラリーを作製する。安定性を有する構造としては、G-quadruplesや細胞内の低蛍光性低分子に結合するRNA分子群を想定し、進化分子工学を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
従来の報告例をもとに大量にタンパク質を発現するpETシステムをベースにRNA発現系の検討を行ったが、実際にはRNAの発現量が少なく、別のRNA発現系の検討を余儀なくされた。また、研究所内の職制が変更されたことに伴い、研究以外の業務が著しく増加したため、研究に割ける時間が減ってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ランダム配列を有するRNAライブラリーを大腸菌内で発現させ、蛍光性の大腸菌を取得することによって、生体内で自発的に蛍光を発する新規RNA配列を獲得することを目指す。ある程度の安定性を有する構造を出発点として、ライブラリーを作製する。具体的には、フラビン類などの細胞内蛍光性低分子に結合するRNA分子群を試験管内にて取得し、これを進化分子工学の出発点とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
RNAライブラリーを試験管内で構築し、大腸菌内で発現させ、生体内で自発的に蛍光を発する新規RNA配列を獲得するために必要となる試薬消耗品を購入する。また関連する研究について、学会にて情報収集するための旅費を計上する。
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