研究課題/領域番号 |
23655172
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
中野 幸司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70345099)
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キーワード | 有機半導体 / 両極性 / チオフェン |
研究概要 |
本研究では,ホール輸送性(p型)有機半導体層および電子輸送性(n型)有機半導体層からなるラメラ構造の構築を目的とする.目的のラメラ構造をもつ材料には,ホールおよび電子の高い電荷移動度が見込まれ,両極性有機電界効果トランジスタや有機薄膜太陽電池への展開が期待できる. 1)前年度までに合成していたチオフェン三量体の一方にアルキル基が置換した化合物(ホール輸送ユニット)とオリゴエチレングリコール基をもつカルボニル基がチオフェン三量体の一方に置換した化合物(電子輸送ユニット)とをアリーレンリンカーで結合させたヘテロ二量体の合成に成功した.また,同様のアプローチによって,チオフェン三量体に替えて,チオフェン四量体をもちいたヘテロ二量体化合物の合成にも成功した. 2)これらの化合物の示差走査熱量分析および偏光顕微鏡観察の結果,中間相・ミクロ相分離構造の形成を示唆する結果を得た.これは,同様のオリゴチオフェンオリゴマーをアルキレン基で結合させた場合には確認できなかった現象であり,当初予定していなかったアリーレン基での連結によって,目的としていた構造の形成の可能性が示された. 3)有機半導体部分の基本骨格としてもちいることを予定しているヘテロアセンに関連して,新しいヘテロアセンとして,ベンゼン環と1,4-ジオキサン環とが縮環したオキサアセンやベンゼン環・チオフェン環・ピロール環が縮環したアザチアヘテロアセンの合成に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アリーレン基をリンカーとした場合に,ミクロ相分離および液晶性の発現が促進される可能性があるという新たな発見があったため,予定を変更して当初予定していなかった一連の分子の合成を優先したため.
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今後の研究の推進方策 |
前年度,当初予定していなかった分子の合成によって,目的の構造の発現を促進する可能性があるという発見があり,ミクロ相分離構造の詳細な解析や半導体特性評価,ならびに学会発表を翌年度以降に延長した. 延長期間では (1)これまでに合成した分子のミクロ相分離・液晶性発現の精査と半導体特性の評価 (2)評価結果を基にした新しい分子の設計・合成・評価 (3)学会発表 を予定している.
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の研究推進方策に基づき,次年度の研究費は,構造評価にもちいる基板や化合物合成などにもちいる薬品等の消耗品や学会発表の旅費に充てる.
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