研究課題/領域番号 |
23655175
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
夛田 博一 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40216974)
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研究分担者 |
川椙 義高 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40590964)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 単一分子 / スピントロニクス / エレクトロニクス / スピン / ブレークジャンクション |
研究概要 |
ここ数年、スピン自由度の制御により、新しい原理に基づく省ネルギーの演算および記憶素子の実現にむけて、スピントロニクスおよびその周辺分野の研究が国内外で活発に行われている。材料面でも、無機半導体や金属に加え、有機分子や炭素系化合物の利用も興味が持たれている。一方、単一分子の電気伝導に関する研究は,走査トンネンル顕微鏡(STM)や微細加工技術の発展により,安定した計測に基づく議論が可能となってきた。特に,ブレークジャンクション(BJ)法とよばれる方法が確立され,電極-分子-電極の架橋構造を統計的回数作製することにより,電気伝導度の定量的計測が行われるようになっている。本研究では、構造の規定された単一分子の電気伝導度における磁場の影響を計測することにより, 分子構造(電子状態)の違いによる磁気抵抗の変化から,スピン輸送機構に関する知見および強磁性電極と分子の接続様式の違いによる磁気抵抗の変化から,スピン注入特性に関する知見を得ることを目的とした。計測には,たメカニカルブレークジャンクション(MCBJ)法を用いた。こ極薄(50~100μm)のシリコン単結晶を基板として用い、電子ビームリソグラフィーとリフトオフ法により,金電極を作製し,めっきにより金を析出させてナノメーターの間隙を持つ電極とする。さらにその表面にニッケルをめっきすることにより強磁性電極とした。磁歪の影響を回避するため,めっき方法を工夫し,できるだけ極薄の強磁性膜をめっきする技術を確立した。分子を架橋し、数秒から数十秒保持する技術は確立しており、その間に、磁場中で電気抵抗を計測したところ、明瞭な磁場依存性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単一分子の電気伝導度の磁場依存性を明瞭に確認するなど、当初の計画通りに進んでいる。バイアス依存性や磁場方向依存性等も計測することに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
もう少し分子鎖長の長い分子ワイヤーを試料として用い,温度依存性などを調べて、スピン輸送特性に関する考察を行うとともに、ゲートバイアスを印加することによるスピンの輸送を制御することを試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
電極材料、薬品など実験消耗品として 70万円成果発表用の旅費として 40万円を予定している。
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