フレキシブルチューブを基板かつ封止保護膜として、有機半導体材料の溶液をチューブ内に通過させることにより製膜する簡易プロセスで有機フレキシブルチューブデバイスを作製、そのチューブデバイスを複数接続することでシート状に成形、さらに異なる機能を持つチューブを組み合わせた多機能チューブデバイスに展開、広汎な応用範囲を持つ新しい有機デバイスを創製することを目的として、既存の材料に囚われることなく、チューブの材質の検討と並行して電極材料、有機半導体材料の探索を行ってきたが、デバイスとしての歩留まりが悪く、複数本組み合わせたフレキシブルチューブデバイスの実証に至らず、単チューブでのデバイスの高効率化が急務であった前年度を踏まえて最終年度の平成24年度は引き続き、有機半導体の合成から有機フレキシブルチューブデバイスの性能評価までを実施した。 任意の高分子系材料にその他の低分子材料、ナノ材料を混合、分散させた半導体溶液を調製することによりある程度のチューブ径までは発光素子、光電変換素子ともに発光効率、変換効率の向上を達成し、発光素子のみ、光電変換素子のみという具合に同種のデバイスチューブを並列に配置し、2次元フレキシブルデバイスを作製が可能であることを実験例を持って示した。また、格子状に接続して2次元、3次元フレキシブルデバイスを作製、または発光素子チューブ+光電変換素子チューブのような異種のデバイスチューブを組み合わせるにはさらにチューブ径を細くする必要があることがわかった。また、チューブ自体に支持、保護以外の導電性、配向性などの機能をもたせたり、チューブを変形させることで高効率化の糸口になることも確認した。 硬質基板の使用という制約を取り除き、自由度の高い、有機半導体の特徴を最大限に活用したフレキシブルチューブデバイスの電子デバイスとしての有効性を実証できたと考える。
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