研究課題
我々はこれまでに天然高分子の活性炭合材電極用バインダーとしての可能性について検討し,特にアルギン酸バインダーはEDLCの出力特性の向上に有益であることを見いだしている.つまり,アルギン酸により電極内抵抗の低減が可能である.本年度はアルギン酸バインダーがもたらす抵抗の低減について詳細に検討し,電気化学特性に及ぼす影響を評価した.具体的には導電助剤を加えずに作製した電極に対して,交流インピーダンスによる各抵抗成分の解析を行った.活性炭とバインダーのみで構成された電極において顕著な性能差を確認し,アルギン酸バインダーの利用は明らかに電極および電極/電解液界面での抵抗成分が減少していた.これはアルギン酸バインダーの活性炭に対する高い親和性による効果であり,それによって大幅な抵抗低減に繋がったと考えられる.さらに,導電助剤を添加して作製した電極における環境温度 マイナス10℃でのレート特性を調査したところ,高レート時においてアルギン酸バインダーの優位性が確認でき,低温時でも低抵抗,高出力を示すことが判明した.さらに,アルギン酸Liをリチウムイオン電池の炭素負極のバインダーに用いる検討を行った.ここであえて低濃度の電解液として0.1 M LiPF6/EC+DMCを適用したセルのレート特性を調査した(作動電圧:3.0 - 4.5 V,C.C. - C.V.モード,1 C = 150 mA/g).塩濃度が希薄で充放電が厳しい条件であるため,従来のSBRバインダーではレート増加に伴い容量発現が困難となり,5 Cではほぼ充放電不可能となった.それに対してアルギン酸Liを用いた系では比較的安定した充放電が可能であることが観測された.この結果は,アルギン酸の適用により,電極/電解質界面に対する物質移動過程の改善効果に起因していると考えられる.
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