研究課題
「一軸配向反応場」の構築をめざし、まず液晶性のアゾ基含有ポリアミド酸(Azo-PAA)の光配向挙動を詳細に検討した。Azo-PAAは、光配向後に熱処理することによりイミド化しアゾ基含有ポリイミド(Azo-PI)に転化する。液晶性をもつAzo-PAAは液晶転移温度以上での熱処理で主鎖の配向が著しく向上し、吸収の二色比が7以上を示すことを見いだした。分子鎖への新しい構造の導入としてAzo-PAA主鎖中の-COOH基と3-アミノトリエトキシシラン(APTES)末端の-NH2基との結合に成功した。最終年度にはOFETのゲート絶縁膜としての応用を視野に液晶性アゾ基含有ポリイミド(Azo-PI)薄膜の誘電率の評価を行った。Azo-PAAとAzo-PIの比誘電率はそれぞれ3.0と決定し、分子配向と比誘電率の相関は見られなかったがAzo-PIはゲート絶縁膜として有効であった。またAzo-PAA主鎖中へのAPTESの導入反応の最適化を行った。イミド化により薄膜の配向性、結晶性が向上するがAzo-PAA中の-COOH基は減少するため反応サイトとなる-COOH基の部分転化によるイミド化率の制御が必要になる。そこでイミド化反応の詳細な解析を行い、反応速度論に則った解析により反応の活性化エネルギーを176 kJ/molと算出した。最適なイミド化率でAzo-PAA分子とAPTESを反応させると、APTESが導入され、光照射によるAPTES 修飾Azo-PI主鎖の配向性は維持されていた。今後、APTESを他の分子に変えることで、光配向したAzo-PI薄膜に反応場を導入することが可能となる。また、アゾ含有ポリマーの主鎖に発光能を有するフルオレン骨格を導入した新規光配向性ポリマーの合成にも成功した。このように本研究では配向反応場創成の基礎研究を行い有機薄膜デバイスの新機能発現への可能性を示した。
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