• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

光触媒反応プロセス解析のための光強度変調赤外分光法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23655187
研究機関北九州市立大学

研究代表者

天野 史章  北九州市立大学, 国際環境工学部, 講師 (10431347)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード光触媒 / 励起電子 / 赤外分光法
研究概要

光触媒は汚染有機物を分解除去できるなど環境浄化材料として実用化されている。また、太陽光エネルギーを化学燃料へ変換するエネルギー変換材料としての展開も期待されている。どちらの用途においても、太陽光の利用効率向上の観点から可視光照射下において高い量子収率をしめす半導体光触媒の開発が望まれている。しかし、光触媒反応プロセスの理解が不十分なため、光触媒の設計指針は明確ではなかった。 本研究では、光触媒反応プロセスを解析するための「光強度変調赤外分光法」の開発を目指している。従来の時間分解赤外分光法は有効な手法であるが、光キャリアダイナミクスの非定常状態解析しかできなかった。そこで、入射光強度を正弦波変調し、光励起電子による赤外吸光度変化を周波数分解計測する「周波数分解赤外分光法」を提案する。この手法は、光触媒反応の実条件と同様な定常状態を保ったまま、光誘起キャリアの再結合速度および界面電荷移動速度を簡便な解析で迅速に評価できると期待される。 本年度では、可視光応答性光触媒であるタングステン酸ビスマスについて、従来の時間分解赤外分光法を用いて光キャリアダイナミクスを評価した。結晶化度と励起電子寿命に相関がみられ、結晶化度が高いほど電子寿命が長く、光触媒活性も高いことを証明した。また、結晶化度が十分に高い光触媒試料では、表面積が大きくなるにつれて光触媒活性が増大した。 時間分解赤外分光法の他に、「光強度変調赤外分光法」と同様の周波数分解計測手法である電気化学インピーダンス法(EIS)を用いた半導体電極の光キャリアダイナミクス特性の解析にも取り組んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

同様の周波数分解分光法である光強度変調光電流/光電圧分光法(IMPS/IMVS)について検討したのちに、「光強度変調赤外分光法」の開発に取り組む予定であった。しかし、IMPS/IMVS測定を実施するうえで必要な「CIMPS太陽電池評価システム」の納品が遅れたため、光強度変調分光法について検討できなかった。

今後の研究の推進方策

代表的な光触媒である酸化チタンおよび酸化タングステンを用いて研究をおこなう。まず、酸化チタンおよび酸化タングステンの微粒子電極について光強度変調光電流/光電圧分光法(IMPS/IMVS)を検討する。ここで使用する装置「CIMPS太陽電池評価システム」に赤外光源と赤外線検出器を組み込み、「光強度変調赤外分光法」を測定できるように改造する。酸化チタンおよび酸化タングステン粉末について「光強度変調赤外分光法」を測定し、光キャリアダイナミクス特性を解析する。光触媒活性との相関を確認することによって、新たに開発した測定手法の有用性を評価する。

次年度の研究費の使用計画

光強度の強さと正弦波変調を制御できるLED光源ならびに周波数応答解析装置はすでに準備した。この装置に赤外光源と赤外線検出器を組み込むことによって、「光強度変調赤外分光法」を測定できると考えている。予備的な検討として、近赤外光の検出感度が高くて応答速度が高いシリコンフォトダイオード検出器、ならびに、高出力の近赤外LED光源を購入する。また、3つの光学窓をもち、固体サンプルを支持できる分光測定用のセルを購入する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Effect of Photoexcited Electron Dynamics on Photocatalytic Efficiency of Bismuth Tungstate2011

    • 著者名/発表者名
      F. Amano, A. Yamakata, K. Nogami, M. Osawa, B. Ohtani
    • 雑誌名

      Journal of Physical Chemistry C

      巻: 115 ページ: 16598-16605

    • DOI

      DOI:10.1021/jp2051257

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi