研究課題/領域番号 |
23655197
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 義和 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40357281)
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研究分担者 |
鈴木 達 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, 主幹研究員 (50267407)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ハイブリッド材料 / 水溶液プロセス / 静電噴霧熱分解法 / 磁場配向 / 酸化チタン / ナノチューブ / ピーポッド / 配向薄膜 |
研究概要 |
本研究では、高密度・高温動作記録デバイス等への応用を目指し、形状を高度に制御した酸化チタン系ナノチューブ内部に、直径3~5 nm のナノ酸化鉄粒子を高密度に充填した「チタニアナノチューブ/ナノ酸化鉄ピーポッド」を新規に合成することを目的としている。さらに、これを強磁場中で配向成膜することにより、上記ピーポッドが高密度に配向したハイブリッド薄膜を創製するとともに、磁気力顕微鏡(MFM)等を用いて磁区構造を詳細に評価し、ナノマニピュレータを用いた書き換えや回路形成についての検証を行うことを最終的な目標としている。 平成23年度は、「材料合成」に特に重点を置いて研究を実施した。ナノチューブ中に内包可能なナノサイズ微粒子の合成プロセスの検証するため、静電噴霧熱分解法によるナノ粒子の合成を実施した(Mater. Res. Bull., 47 (2012) 889 および マテリアルインテグレーション誌2012年3月号)。 また、磁場配向については、マトリックスとなるTiO2系材料の磁場配向挙動を調べた。スリップキャスト法と磁場配向を併用することによりc軸配向したアナターゼおよびルチルが得られることが明らかとなった(J. Ceram. Soc. Jpn., 119 (2011) 334) 平成23年度末時点で、チタニアナノチューブの口径制御、および微粒子の重点によるピーポッド化を引き続きすすめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の移籍(京都大学→筑波大学)および東日本大震災の影響により、平成23年4月から7月にかけて当初プランよりも約4か月ほどの遅れが発生した。平成23年度末時点では、ある程度遅れを取り戻している。 一方、研究代表者の移籍により、結果として研究分担者との地理的距離が近くなったことから、研究チームとしての効率が改善されている。平成24年度以降は研究の加速が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、「薄膜形成」に重点を置いて研究を実施する予定である。「材料合成」については、平成23年度で遅れが生じたピーポッド合成を具体化し、チタニアナノチューブへのナノ酸化鉄微粒子の高密度充填とサイズ制御により、目的とする薄膜形成に足りる材料とする。 薄膜形成については、強力永久磁石および電磁石を用いた磁場印加状態のもとで交互吸着法を行うことにより、ナノチューブピーポッドが一方向に配向した配向薄膜の形成を試みる。さらに、物理的手法に比べたデメリットであるスピード性の問題を解決するため、スプレー交互吸着法によるさらなる成膜速度の改善を図る。 さらに、実際に作製した配向ピーポッド薄膜について、磁気力顕微鏡(MFM)等を用いた磁区構造観察を行うとともに、ナノマニピュレータ等を用いて、回路形成を目指したピーポッドの任意位置への移動を行うことを検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
本提案では、既存の設備を可能なかぎり有効活用し、新規装置導入に必要な期間・費用を削減するために、小規模の計測器・アタッチメント等を除き新規装置は原則導入しない予定である。消耗品として、材料合成・薄膜形成に必要となる試薬類に加え、作製した薄膜の評価に必要となる走査プローブ顕微鏡の探針、ナノマニピュレータ用探針等を購入予定である。旅費については、共同研究および研究発表に必要な額を使用する予定である。
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