研究課題/領域番号 |
23655202
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松田 元秀 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80222305)
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研究分担者 |
中島 健介 山形大学, 理工学研究科, 教授 (70198084)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | セラミックス / 複合材料・物性 / 無機工業化学 / 電子・電気材料 |
研究概要 |
研究課題初年度となる本年は、主に試料作製に注力した。具体的には、導電性基板上に配向性を有するゼオライトの緻密膜やゼオライトの巨大結晶の作製に取り組んだ。以下に、研究成果の概要を記す。・比較的粗大な石英ガラス粉末を出発材として、b軸方向に10員環(0.56 × 0.53 nm)で直線状の細孔を持ち、a軸方向にも10員環(0.55 × 0.51 nm)でジグザグな細孔を有するMFI型ゼオライトの薄膜作製を、ステンレス(SUS304)基板ならびに金で表面コーティングされたジルコニア基板を用いて、適当な反応溶液中で実施した。その結果、XRD回折よりb軸配向性を示すMFI型ゼオライトの形成が示され、また微細構造観察を行ったところ、基板表面に薄膜が観察された。当初、その膜はb軸配向性MFI型ゼオライトであると判断されたが、検討を進める中、膜は非晶質で、b軸配向性は膜表面に見られた析出粒子によるものではないかと考えられた。現時点では、b軸配向性の由来は明らかでなく、更なる検討を要する。・ゼオライトの巨大結晶の作製に関しては、Shimizuらによって報告された合成法に基づいて行われた。その結果、1 mmを超える大きなMFI型ゼオライト結晶が合成された。微小部X線による検討から、得られた結晶は単結晶であることが強く示唆された。また、その大きさは、反応溶液に導入するHF量によって変化すること、出発材であるガラス管の配置方法によって異なることが明らかになった。 本研究着手時には、本年度中に電気めっきによるゼオライト細孔へのクラスター包蔵を計画していたが、良質な試料を得るための条件がなかなか見出すことができず、電気めっきに関しては、本年度は予備的な実験を行うにとどまった。なお、ゼオライトの磁気特性を予備的に調べたところ、反磁性体であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、試料合成に続いて、電気めっきによるゼオライト細孔へのクラスターの包蔵ならびに得られた試料の微細構造の検討と磁気特性の評価を行う予定であったが、検討に用いる試料の内、所望の組織からなる膜の作製に至らず、電気めっき以降の検討を十分に行うことができなかった。それ故、現在までの達成度は遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、得られたゼオライト巨大結晶内へのクラスター包蔵を検討するとともに、所望の組織を有する膜試料の作製を今一度検討する予定である。なお、包蔵実験に関しては交付申請書に記載した検討項目に従い、研究を進める予定である。また、巨大結晶ではその形状上、厚さ方向に対する電気抵抗は膜試料と異なることが予想されるため、電気特性評価も行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は交付申請書に記載した検討項目の内、クラスターの包蔵とその内包クラスターの状態評価ならびに得られた試料の磁気特性に関する検討が十分にできなかった。そのため、当初予定していた物品の購入が必要にならなかった。次年度にはそれらの検討を含めて研究を進める計画であり、本年度当初に購入を予定していた物品は次年度に購入予定である。
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