研究課題/領域番号 |
23655202
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松田 元秀 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80222305)
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研究分担者 |
中島 健介 山形大学, 理工学研究科, 教授 (70198084)
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キーワード | セラミックス / 複合材料・物性 / 無機工業化学 / 電子・電気材料 |
研究概要 |
本年度は、主に作製されたMFI型ゼオライト配向膜の微細構造評価、ゼオライト細孔規則配列体の微細構造評価とナノ空間局所めっきへの展開について取り組んだ。以下に、研究成果の概要を記す。 (1)比較的粗大な石英ガラスを出発材としてMFI型ゼオライト膜の作製を行い、得られた膜の微細構造を詳細に検討してきた結果、XRDパターンからは膜のb軸配向性が示唆されていたものの、そのXRDパターンは膜上に堆積した結晶からの回折を反映し、膜は非晶質であることが明らかになった。 (2)Shimizuらによって報告された合成法に基づき、パターンドメディア用基材への展開が期待できるゼオライト細孔規則配列体となるミリメートル級のMFI型ゼオライト巨大結晶を作製し、細孔からの構造指向剤除去を検討した。その結果、合成時に添加した構造指向剤を除去するために、各種雰囲気での熱処理や紫外光照射実験を行った結果、構造指向剤が除去されると同時に、巨大結晶の強度が著しく低下し、めっき実験に供することができる試料を得るには至らなかった。この結果を受け、構造指向剤を要しない合成法で、MFI型より細孔径が小さいものの同程度の大きさのミリメートル級のアナルサイムゼオライトを得ることに成功した。得られたアナルサイム巨大結晶を用いて電気めっき実験を行ったが、細孔空間内でのゲスト種堆積は観測されなかった。これはホストの電気抵抗があまりに高いため、電場が効果的にゲスト種に作用しなかったためと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究を開始して2年目となる本年度は、作製試料を用いた電気めっきによるゼオライト細孔へのクラスターの包蔵と得られた試料の微細構造および磁気特性を検討する予定であったが、前記のように、実験に供することができるゼオライト構造が配向した薄膜を得ることができず、また他法でゼオライト巨大結晶を作製したが、細孔内に存在する構造指向剤の除去に至らず、当初の計画通りの検討を行うことができなかった。それ故、現在までの達成度は遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、細孔内に構造指向剤を持たないアナルサイム結晶を用いて検討を行う。電気特性評価結果を基に、電気抵抗を下げる目的で、試料の薄片状加工なども検討するとともに、気相法によるクラスター包蔵も視野に入れパターンドメディアへの展開性を検討したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、前記のように、当初の計画通りの検討が十分に行うことができなかった。次年度の研究費は、本年度にその作製に成功したミリメートル級のアナルサイムゼオライトに対するクラスター包蔵実験用部材の購入に充てたいと考えている。
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