平成25年度は、前年度までの検討結果を受け、パターンドメディアの基材としての展開が期待できるサブナノ細孔が規則的に配列したMFI型ゼオライトとアナルサイムを対象として検討を進め、ナノ空間局所電気めっきプロセスへの展開性を考察した。以下に研究成果の概要を記す。なお評価対象とした試料は、Shimizuらによって提案されたバルク状原料を出発材としたバルク溶解法にて作製された。 (1) 前年度までの検討結果を受け、MFI型ゼオライトからの構造指向剤除去をより詳細に検討したところ、構造指向剤の除去挙動は処理雰囲気の酸素分圧依存性があることを見出し、試料強度の低下を抑制しながら構造指向剤除去を可能とするプロセスを提示した。一方、電気めっきを行う上で重要となる基材の電気特性を測定したところ、構造指向剤除去後でもいまだ極めて高い電気抵抗値を得た。電気抵抗低減のために試料の薄片化を試みたが、試料強度の問題から薄片化には成功しなかった。 (2) 構造指向剤を含まないアナルサイムにおいても、電気抵抗が極めて高く、薄片化を試みたが、試料サイズの関係で薄片化には成功しなかった。一方、電気特性評価と構造評価を進める中、評価対象試料は単結晶で、極めて高いイオン伝導物性を発現することを見出した。パターンドメディアへの展開として、イオン交換によるサブナノ細孔空間内元素の制御を試みたが、上記のMFI型ゼオライトとは違って、アナルサイムの細孔口が小さく、同プロセスでは元素制御は容易でないことがわかった。
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