研究課題/領域番号 |
23655205
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
菅原 義之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50196698)
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研究分担者 |
斉藤 ひとみ 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (50609245)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ナノシート / グラフト反応 / インターカレーション / 層状六ニオブ酸 / 有機ホスホン酸 |
研究概要 |
ナノシートが積層した構造を持つ無機層状物質の中には、ナノシート表面に有機基をグラフトさせて有機誘導体を得ることができるものが知られている。層状ニオブ酸塩である六ニオブ酸カリウムは2つの反応性が異なる層間を有し、層間Iにだけ有機イオンを導入したA-typeの層間化合物と層間I、IIともに有機イオンを導入したB-typeの層間化合物を形成する。有機イオンがある層間だけホスホン酸とのグラフト反応が進行する事を利用し、層間Iの層表面だけにホスホン酸基がグラフトしたA-typeの有機誘導体と層間I、IIの層表面にホスホン酸基がグラフトしたB-typeの有機誘導体が得られる。従って、A-typeの有機誘導体を中間体として、A-typeの有機誘導体化の時とは異なるホスホン酸を用いる事により、異なるホスホン酸で層間Iと層間IIを修飾できる。得られるナノシートは層間Iの面と層間IIの面が異なるホスホン酸基で被覆された"ヤヌス" 型ナノシートとなる。そこで本研究は、フェニルホスホン酸A-type 修飾体の層間IIへ新たに別の有機ホスホン酸を反応させることにより、"ヤヌス" 型ナノシートを合成する。既報に従いジオクタデシルジメチルアンモニウムイオンを層間Iにのみインターカレーションさせ、これを中間体としてフェニルホスホン酸(PPA)と反応させ、塩酸洗浄を行った。その結果、層間は約5.46 nmから2.84 nmに減少した。さらにドデシルアンモニウムイオンとの反応により層間IIへのドデシルアンモニウムイオンのインターカレーションを試みた。その結果、層間距離は3.88 nmに増加した。これにプロピルホスホン酸を反応させたところ、層間距離は3.21 nmへ減少した。固体高分解NMRの結果から、2種類のホスホン酸基の存在が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、1)A-type有機誘導体の層間IIへの有機イオンのインターカレーション、 2)得られる中間体の層間IIでのホスホン酸によるグラフト反応、)3層間Iと層間IIに異なるホスホン酸基のグラフト反応、4)層間Iと層間IIに異なるホスホン酸基を有する有機誘導体の剥離、の4項目を検討する計画であるが、現在までに1)から3)まで成功しており、順調な展開と考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、前年度の方法論に従い、いくつかの組み合わせで層間Iと層間IIに異なるホスホン酸基をグラフト反応させる。これらを各種有機溶媒中で超音波処理を行い、剥離を達成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品等の購入と分析機器使用料や学会発表・論文投稿に関する費用として使用する予定である。
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