研究課題/領域番号 |
23655210
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
生越 友樹 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (00447682)
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研究分担者 |
山岸 忠明 金沢大学, 物質化学系, 教授 (90220251)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ピラー[5]アレーン / ビオロゲンポリマー / ポリロタキサン / 熱硬化性樹脂 / 環動ゲル / フェノール樹脂 / 融点 / ポリエチレン |
研究概要 |
軸分子としてビオロゲンポリマーやポリエチレン、フェノール性環状ホスト分子としてPillar[5]areneを輪成分として用いることで、Pillar[5]areneを基としたポリロタキサンの合成を試みた。その結果、ビオロゲンポリマーを用いた場合は、ビオロゲンポリマーの分子量が十分ではなく、ビオロゲンポリマー鎖長は、Pillar[5]areneが環動するためには十分でなかった。それより、ビオロゲンポリマーの高分子化を試みたが、十分な分子量のビオロゲンポリマーを得ることは困難であった。ビオロゲンを二官能性のジブロモアルカンで連結する反応が、高効率で起こらないためだといえる。そこで、軸分子を、市販の高分子量である高密度ポリエチレンを軸分子として用いた場合、ポリエチレンとPillar[5]areneの溶融温度以上である140度で両者を混合することで、ポリ擬ロタキサン構造を形成することが明らかとなった。さらには、ポリ擬ロタキサン構造の形成により、ポリエチレンの融点は、120度から150度へと、約30度ほど大きく向上することが分かった。ポリエチレンは、汎用性高分子であることから、その熱的特性を大幅に変化させることは、非常に重要ある。本手法でのポリ擬ロタキサンの形成は、溶融状態でポリエチレンにPillar[5]areneを混合するのみであることから、非常に簡便であり、低コストであることから、学術的な興味ももちろん、工業的な応用も期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標であった、ビオロゲンポリマーを軸としたポリロタキサンの合成は、非常に困難であった。一方、軸分子をポリエチレンにすることで、単に混合するのみで、ポリ擬ロタキサンが形成できることを見出すことができた。市販のポリエチレンは、非常に高分子量であるため、Pillar[5]areneが環動するのに十分な鎖長であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
軸分子をポリエチレン、輪成分をPillar[5]areneとしたポリ擬ロタキサンの末端をキャッピングすることにより、ポリロタキサンの合成を行う。それにより、更なるポリエチレンの熱特性向上が見込めると予測される。さらには、輪成分であるPillar[5]areneを架橋することにより、熱可塑性樹脂であったポリエチレンを、熱硬化性樹脂へと転換する。
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次年度の研究費の使用計画 |
軸分子をポリエチレン、輪成分をPillar[5]areneとしたポリロタキサンの合成、及び得られたポリロタキサンを架橋するためには、多数の試薬が必要となる。さらには、架橋反応には、加熱反応装置、撹拌装置、硝子器具等の実験設備が必要となる。さらには、得られた成果を、高分子学会年次大会、高分子討論会、日本化学会年会等で、幅広く世間に広める必要がある。そのため、物品費及び旅費を計上した。
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