研究代表者は、新しい環状ホスト分子であるPillar[5]areneを得ることに成功した。Pillar[5]areneは電子ドナー分子であるヒドロキノンから構成されており、その空孔内部は非常に電子豊富な環境である。そのため、電子不足なビオロゲンをゲスト分子として取り込むことができる。研究代表者はこれを利用して、ビオロゲンを連結させたビオロゲンポリマーを軸、Pillar[5]areneを輪、嵩高いアダマンチル基をストッパー成分とした、Pillar[5]areneポリロタキサンの合成に成功した。そこで本研究では、Pillar[5]areneポリロタキサンを基にした環動部位を有する熱硬化性樹脂の創製を目指した。しかしビオロゲンポリマーを利用したPillar[5]areneからなるポリロタキサンは、主鎖のビオロゲンポリマーの分子量が十分でないために、環動するための高分子鎖長は十分でなかった。そこで、本年は十分に高分子量体のポリTHFを軸分子としたポリロタキサンの合成を試みた。初めに両末端にアジド基を有するポリTHFを合成した。その後に、トリエチレンオキシド鎖を導入した液体Pillar[5]areneに、両末端にアジド基を有するポリTHFを溶解させ、キャッピング反応を行った。その結果、用いるトリエチレンオキシド鎖を導入したPillar[5]areneの割合が多いほど、ポリロタキサンの形成効率及び、被覆率は向上した。
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