負の屈折率材料(電磁メタマテリアル)の候補となりうる大きなナノ構造(100nm以上)を有するハイブリッドの作製法探索を目的とし、具体的に以下の①、②の結果を得た。 ①ブロック共重合体と無機粒子からなる均一なハイブリッドの作製 可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合によりポリスチレンPSの長さが等しく(分子量:39000)、ポリ4ビニルピリジンP4VPの長さのみが異なるブロック共重合体PS-P4VPを3種類合成した(全体分子量:80k、61k、43k)。これらと表面に水酸基を持つカドミウム-セレン半導体ナノ粒子(CdSe)とをジメチルホルムアミド中で混合後、キャスト・アニールを施して均一なハイブリッド膜を得た。透過型電子顕微鏡と小角X線散乱による構造観察からPS相とCdSe・P4VP混合ハイブリッド相からなるナノ相分離構造の形成、混合重量比によるモルフォロジー転移、さらにドメイン間隔の増大が確認された。分子量の小さいPS-P4VPではCdSeの析出やマクロ相分離が観察された。本成果について論文を発表した。 ②高分子量ブロック共重合体の合成と100nm以上の構造周期を有するナノ相分離構造の構築 300MPaの高圧でスチレンをRAFT重合し、得られたポリスチレンPSをmacroRAFT剤としてtert-ブトキシスチレンを重合することで高分子量のブロック共重合体(PS-PtBOS)を得た。高圧RAFT重合で得られたPSの分子量、分子量分布は128000、1.3、PS-PtBOSについては分子量は300000、分子量分布は1.5、PSの組成は0.4であることが分かった。透過型電子顕微鏡と小角X線散乱による構造観察からPSとPtBOSからなる交互ラメラ構造の形成が確認され、そのドメイン間隔は100nm程度であることが分かった。本成果をまとめて論文を投稿する予定である。
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