研究課題/領域番号 |
23656009
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
舛本 泰章 筑波大学, 数理物質系, 教授 (60111580)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | チオフェン/フェニレン・コオリゴマー / 微少共振器 / パーセル効果 |
研究概要 |
微少共振器に挿入したチオフェン/フェニレン・コオリゴマーの光学特性チオフェン/フェニレン・コオリゴマー分子を屈折率1.49のポリメチルメタクリレートにドープした薄膜層を活性層とし、金属銀(Ag)薄膜を用いたAg-Ag型微少共振器、あるいは誘電体多層膜ミラー(DBR)を用いたDBR(Ta2O5/SiO2)-DBR(TiO2/SiO2)型微少共振器、DBR(TiO2/SiO2)-DBR(TiO2/SiO2)型微少共振器を作成し、室温で反射スペクトル、発光スペクトルを微少共振器と観測方向との角度の関数として研究した。活性層の厚みが120nmと薄いときには1次の単一モードが反射スペクトル中の窪みとして500nm付近に観測され、活性層の厚みが1000nmと厚いときには2次から8次に至る高次の複数のモードが380nmから1500nmに至る波長領域に反射スペクトル中の窪みとして観測された。これらのモードの光子エネルギーは微少共振器と観測方向との角度の増加にほぼ比例して増加し、共振器光学モードの角度依存性の理論式と一致することから共振器光学モードとして同定できる。発光スペクトル中にも反射スペクトル中の窪みが見える波長位置に、微少共振器中にない場合に見られる発光スペクトルに比べてはるかに細い幅をもつピークが観測された。発光ピークの線幅とピーク位置から共振器のQ値を導くとAg-Ag型微少共振器で50、DBR(TiO2/SiO2)-DBR(TiO2/SiO2)型微少共振器で170となり、微少共振器の効果が確認された。発光の寿命は微少共振器中のチオフェン/フェニレン・コオリゴマーでは450-460psで、微少共振器中にない場合560psと比較して20%程度短くなりパーセル効果が観測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
チオフェン/フェニレン・コオリゴマー分子を含む3種類の微少共振器を作成して共振器閉じ込め効果を確認したのでおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
チオフェン/フェニレン・コオリゴマー結晶薄膜を含む微少共振器作成は、膜厚および膜質の制御に困難が予想されるので、チオフェン/フェニレン・コオリゴマー分子を含む高Q値微少共振器の作成とその評価を進めた後に取り組みたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は共振器作成に必要なスパッターターゲットやポリマー等にストックがあり、材料費を多く要さずに研究を進めることができた。平成24年度は電子顕微鏡用消耗品、化学薬品や光学部品に予想より多くの費用を要するため、平成23年度から繰り越し、平成24年度の予算と合算して使用する。
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