研究課題
本研究の目的は、金属塩化物とメタケイ酸ナトリウムの水溶液を湿式混合する独自の製法で磁気ナノ微粒子を生成し、磁気的性質を明らかにし、官能基を修飾しがん細胞選択性を持たせる。この微粒子をハイパーサーミア(温熱療法)へ応用するために微粒子の交流磁場による発熱特性を評価することであった。①サンプル作製と最適化については、超常磁性を持つネール緩和による発熱機構が支配的であることが明らかになったため、直流および交流磁化率の測定結果からMnZn系フェライトに注目して詳細の解析を行った。Znのドープ量がMn1-xZnxFe2O4の組成のx=0.2の場合が最も発熱効率がよいと予測した。②発熱測定にあたっては、実際の前立腺がん細胞を用いて、ハイパーサーミア効果を検証するシステムを構築した。磁場をかけない場合はほとんど細胞が死滅せず、本微粒子の毒性が低いことも証明された。当研究室で細胞を培養するための環境も整えた。③実際に治験へ向けた実験を考慮し、生体内での微粒子の分散性について検討した。電気的反発を利用するのみでなく、立体障害による分散を利用した修飾方法を開発した。その結果、ハイパーサーミア効果も向上することが明らかになった。④本研究にて開発を進めた一連の微粒子の中にはMRIのシグナルも明瞭に得られるものがあることも見出せた。本微粒子による温熱治療と診断を同時に行う、セラノティクスへの可能性を示唆した。
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