一般にスピンポンピングによるスピン注入では電気的なスピン注入で問題となる伝導度ミスマッチ問題を回避できると言われているが、本研究によって必ずしも従来の理解は正しい場合だけではないことが明らかとなった。そこで徐々に伝導度の差がある系を構築するためにまず非縮退 p 型 Si を用いた素子を作製しスピンポンピングによるスピン注入と室温純スピン流輸送に成功させた(Physical Review Letters 誌掲載)。次に更に伝導度を下げた材料としてゼロギャップ半導体である単結晶単層グラフェンを用い同様の実験を行いやはりスピンポンピングと室温純スピン流輸送に成功した(Physical Review B 誌に Rapid Communicationとして掲載)。上記の成果はいづれも Editor's Suggestion に選定されたほか、日刊工業新聞・読売新聞など多くのメディアで掲載されるなど大きなインパクトを与えることができた。
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