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2011 年度 実施状況報告書

ヘテロ基板上の超低転位窒化物半導体ナノエピタキシー

研究課題

研究課題/領域番号 23656020
研究機関九州大学

研究代表者

田中 悟  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80281640)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード窒化物半導体 / ポリタイプ / SiC
研究概要

III族窒化物半導体薄膜は,ホモ基板の欠如とヘテロ格子不整合に伴い非常に多くの欠陥があり実用上問題となっている.デバイスの高機能化・高性能化に向けて,バルク基板の開発は必須であるが,技術的・経済的に困難な点が多い.ヘテロ結晶成長によって主な欠陥である貫通転位を大幅に低減することができれば,実用基板を用いることができ,また,現在のプロセスのままで高品質化が達成される.そこで本研究では,申請者が見いだした2つのユニークな表面現象による「SiCナノ周期表面」および「SiON超薄膜」をベースとして「ナノエピタキシー法」を提案し,窒化物薄膜の貫通転位密度の大幅な低減を計ることを目的としている.まず初年度の成果としては,「貫通転位密度」低減のために必須の条件であるSiCナノ周期表面上へのGaN薄膜成長モードの制御を行った.即ち転位発生を抑えるためにはGaNを基板と同じ結晶構造(ポリタイプ)にする必要があり,そのためにはへテロステップフローモードの実現が不可避である.分子線エピタシー法を用いて,GaクリーニングによるSiC表面状態の原子レベルでの制御,Ga/N比の最適化によりこれを実現した.安定な2H(閃亜鉛鉱型)GaNではなく,基板と同じ6H構造をステップフロー成長により得ることができ,これを反射高速電子線回折(RHEED),ラマン分光,フォトルミネッセンス測定により物性の評価を行った.ラマン分光では,明瞭な折り返しモードを確認し,フォトルミネッセンスにおいては,2H構造より長波長に励起子発光を観察した.6H-GaNは今までに得られたことがなく,物性は未知であったが,本研究により明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

最終目標である「貫通転位密度の大幅な低減」に関する知見は現状では評価段階ではないため,得られていないが,そのために必須となるヘテロ基板上でのステップフローモードの実現は達成した.各種物性評価により新奇な6H-GaN特性を観察し,結晶としても十分な特性を備えていることを確認した.フォトルミネッセンスでは,間接的ながら,欠陥に起因するディープレベルの発光が抑制されていることを確認している.以上の結果から,本研究は当初の予定通りに順調に進展していると思われる.

今後の研究の推進方策

最終目標である「貫通転位密度の大幅な低減」をめざし,そのために必要な成長モードの最適化および基板表面構造との関係を明らかにする.他のポリタイプである4H構造やあるいはSiCとの格子不整合が小さいAlNに関しても同様な実験を行い,転位密度のとの相関を究明する.最終的には,新奇ポリタイプの物性を明らかにするとともに,貫通転位密度の大幅な低減を実現する.

次年度の研究費の使用計画

分子線エピタキシー装置のメンテナンスに必要な各種真空部品や転位密度の評価に必要な透過型電子顕微鏡観察の費用とする.

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公開日: 2013-07-10  

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