• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

原子層堆積法による室温強磁性強誘電体人工超格子の成長

研究課題

研究課題/領域番号 23656022
研究機関上智大学

研究代表者

坂間 弘  上智大学, 理工学部, 教授 (10242017)

キーワード強磁性強誘電体 / 原子層堆積法 / 人工超格子
研究概要

ビスマスをAサイトに持つBiペロフスカイト遷移金属酸化物の人工超格子によって、室温以上で強磁性と強誘電性を併せ持つ物質を作製することを目的として研究を行った。過去に用いたPLD法では、わずかな膜厚の超格子しか作製できず、理論的予測値の半分しか磁化が得られなかった。それは、PLD法を用いる場合、RHEED振動で単原子層ごとの成長を確かめなければならないため、成長に従って表面の平坦性が悪化した場合それ以上の成長が不可能になり、また成長温度が500℃以上と高いため超格子中の原子が拡散し、特に2種類のBサイト金属イオン(ここではFe3+、Cr3+)が(111)面に垂直な方向に交互に配列する秩序が破壊されるためである。そこで、本研究ではそのような恐れの少ないALD法を製膜方法として選び、膜厚と磁化の増大を目指した。それによって膜厚と磁化及び電気分極が実用化可能な水準まで達成できれば、電気磁気効果を利用した電圧駆動の高速低消費電力磁気デバイス、MRAM、磁気光学素子、スピントロニクスデバイス、大容量4値メモリーなどが実現性を帯びると考えられる。
ALD法はさまざまな特徴をもつが、本研究では特に基板や超格子表面が必ずしも原子レベルでの平坦性を持たなくても単原子層ごとの成長が可能である、低温成長が可能であるといった点が強みになる。しかし、ALD法は主に半導体デバイス用の誘電体薄膜の成長に用いられてきており、本研究のような目的で使われた例はほとんどないため、全く新しい試みとなる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ALD法は主に半導体デバイス用の誘電体薄膜の成長に用いられてきており、Biペロフスカイト遷移金属酸化物の成長に使われた例はほとんどないため、過去のALD法による研究報告を参考にできない。原料の選択なども含めてすべてゼロからのスタートとなった。初年度は、最初の試みとして超格子を構成する一方のBiペロフスカイト遷移金属酸化物であるBiFeO3をALD法で原子層成長することを試みた。そのために、プレカーサーとして利用できる可能性のある原料を試した。昨年度は、Bi原料としてはBi(thmd)3を、Fe原料としてはFe(acac)2を用いた。しかし、これらの原料は低温で比較的分解しにくいため分解し残った分子が超格子中に取り込まれ、また基板上での分解速度が小さいために、組成ずれや平坦性の悪化、リーク電流を生じた。そこで、今年度は、より低温で分解しやすいBi(Ph)3、Fe(Cp)2を試した。その結果、基板温度250~350℃において、BiFeO3の単層成長に成功した。また組成ずれが生じず、また平坦性は良好であった。しかし、電気的測定を行った結果、やはりかなりのリーク電流が認められた。これらは、成長条件が最適化されていないためと思われる。

今後の研究の推進方策

昨年度の結果を踏まえて、Bi(Ph)3、Fe(Cp)2はBiFeO3薄膜を作製するための原料として良好であるとの結論に達した。そこで、今年度はリーク電流の低下を目指して成長条件の最適化を行う。さらに、超格子を構成するもう一方のBiペロフスカイト遷移金属酸化物であるBiCrO3薄膜の成長に挑戦する。現時点で予定しているCr原料はCr(Cp)2である。

次年度の研究費の使用計画

プレカーサー原料費、具体的にはBi原料としてのBi(Ph)3、Fe原料としてのFe(Cp)2、及びCr原料としてのCr (Cp)2購入費に用いる。市販されている薬品から選ぶ。また、それらを入れる容器を購入する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 強磁性強誘電体

    • URL

      http://www.ph.sophia.ac.jp/~saka-ken/category5/category14/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi