本研究では、化学振動反応であるBZ反応によって自励振動する高分子ゲルのダイナミクスについて研究を行った。中性子散乱によるゲルの構造転移の実験により、約2.2次元から2.8次元へ高分子ゲルの特徴的な構造が転移していることが明らかとなった。また、これまで自励振動する高分子ゲルの主鎖としてN-イソプロピルアクリルアミドを使用してきたが、28度以上ではゲルが収縮してしまい、結果としてBZ反応によってゲルの膨潤・収縮運動を観察することができなかった。しかしながら、このゲルをミクロ相分離させることで、ゲルを多孔質化することで28度以上で体積振動することを新たに見いだした。28度以上でも、温度と体積振動の周波数との関係はアレニウスの式でかけることが明らかとなった。したがって、ゲルの周波数を制御する方法として温度を上げることが有効であることがわかった。さらに、ミクロ相分離したゲルの有効拡散係数が従来のゲルのゲルに比べると1桁以上大きくなっていることも分かっており、化学反応とゲルをカップルさせるのにミクロ相分離したゲルは非常に有効であることが分かった.
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