研究課題
申請時の目的はBiFeO3の反強磁性結合を利用して強磁性層の磁化反転を室温で実現することであった。本年度の成果では、BiFeO3/CoFe2O4二層膜を作製し、BiFeO3への電圧印加によりCoFe2O4の磁区を180°反転させることに室温で成功しており、100%の達成度となる。さらに、①申請者は従来の横方向へ電圧を印加して分極反転させる構造ではなく、新たに縦型に電圧を印加する素子構造を開発し、従来に比べて1/20程度の低電圧で磁区を反転させることに成功した。縦型構造とすることにより将来は素子の電気抵抗を桁違いに低減できるようになる。現在の試料は、縦型構造としたことにより従来の報告に比べて駆動電圧がかなり低減できているが、現在の膜厚の100 nmを1 nm程度まで低減させれば、素子抵抗を50Ω程度まで低下させることができるようになる。つまり、不揮発メモリに必要とされているギガHz帯域での高周波駆動ができるようになることになる。また、②100 nmの微小の磁区を反転させることに成功したことは、開発中の電流駆動のspin-RAMの集積度に匹敵する高記録密度を電界駆動方式で実現できることを意味している。①および②は申請時に期待した以上の成功であり、本研究の達成度は200%といっても過言ではない。一方、学術的にも本成果は高く評価されており、英文誌へ掲載された論文は”Virtual Journal of Nanoscale Science & Technology”に選出され、優れた論文として紹介された。
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