研究課題
金属ナノギャップ構造のプラズモン局在場において、熱運動するナノ微粒子や分子に速度依存放射圧が発生し、クーリング(冷却)効果が顕在化する現象を、世界に先駆けて理論的・実験的に解明することを目的とする。このクーリング放射圧は、ギャップモード局在プラズモンと強くカップリングした微粒子・分子がナノ空間で移動すると、局在増強場のエネルギーが急激に変化することによって発生する。本年度は、昨年に開発した数理シミュレーション解析手法を共振器系に適用し、ミラーに作用する速度依存放射圧を求めてクーリング効果を定量的に解析した。その結果を理論解析により見積った放射圧と比較し、放射圧冷却現象の解析に必要な電磁場の計算精度、空間・時間のサンプリング条件等を精査した。共振器系での検証に基づき、ギャップモード局在プラズモン場と強くカップリングした微粒子・分子の運動によって誘起される電場変化から放射圧冷却効果を解析した。また、プラズモン局在場の急峻な電場勾配によるトラッピング放射圧をクーリング放射圧と共に計算し、ナノ空間における流体力学的相互作用も組み入れて、微粒子・分子の運動状態の時空間展開を精密にシミュレーション解析した。さらに、半導体ナノ微粒子や芳香族有機分子を対象として、放射圧クーリング効果、局在プラズモンとのカップリング効果、金属ナノ構造との相互作用等が、微粒子・分子の発光・吸収・散乱ダイナミクスに与える影響ついて分析し、新奇な光物理・光化学現象の探索に展開する。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
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