研究課題/領域番号 |
23656049
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
久武 信太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (20362642)
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研究分担者 |
高原 淳一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90273606)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | メタルホールアレイ / 振幅・位相分離計測 / THz波 / 金属近傍電界 / アンテナ近傍電界 |
研究概要 |
本研究は、THz波(100 GHz-10 THz)帯の電磁波を対象に、波長と構造寸法が同程度のいわゆる共鳴領域において特徴的に振る舞う金属周期開口の特性を、その表面に局在する電場の3次元イメージングにより実験的に明らかにし、局在電場モニタ型の物質センサへの応用の道を開拓することを目的としている。当初、共鳴領域において金属表面開口の特性は電磁波の波長に非常に敏感に変化するため、精密に周波数制御された連続波(CW波)を用い、ホモダイン型とすることで位相も含めた高分解能分光計測システムを実現することを目指していたが、従来手法では精密な位相測定のためにはレーザの周波数制御が不可欠であることが判明した。そこで当該年度では、光の干渉計と光周波数シフタを組み合わせたヘテロダイン型の電界計測の手法を考案し、その基本的動作を実験的に確認した。考案の手法により、フリーランニングレーザを用いても高精度位相計測が可能となる。本手法は、マイクロ波帯からTHz波帯に亘る広い周波数領域でのコヒーレント電界計測一般に応用できるため非常にインパクトが大きく、現在特許出願準備中、論文執筆中である。また、従来の偏光変調方式による電界センシングの場合は、プローブ光を導波させる偏波保持ファイバへの応力変化や、電界センサとして用いる電気光学結晶の複屈折揺らぎにより、測定精度が劣化する問題があったが、このような影響を受けない新しい計測方法を考案し、これをマイクロ波帯で実証した。この成果は公開された(Hisatake et al, Appl. Phys. Express, vol. 5, 012701 )。このように、平成23年度は、当初目的を達成するために障害となる問題を解決するための新しい手法を2つ考案した。なお、これと並行してサンプルを操作するためのステージを含む計測システムの構築も完了させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目的を達成するために障害となる2つの問題点が浮き彫りとなったが、両問題とも新しい手法に基づき解決することができることが明らかとなった。また、計測システムの構築もほぼ完了しており、概ね研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定の通り、平成23年度中に計測システムを概ね確立した。平成24年度は、まず平成23年度に考案し、マイクロ波帯で実証した新しい電界検出手法をTHz波帯へ拡張し、これを実証する。実証に成功すれば、本新しい手法に基づき、当初の計画通り、メタルホールアレイの近傍電界をイメージングし、提案のようにセンサーへの応用を目指す。提案の新手法に問題があれば(SNRなど)、従来の偏光変調方式に基づき当初の目的を達成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画では、近傍電界計測のための光学部品とサンプル購入が主な研究費の使用計画であった。平成23年度は概ね順調に研究が進んだためこの計画にそって研究費を使用する予定である。但し、上に記したように新しい電界検出手法の実証のために、次年度に繰り越した研究費を充当する予定である。
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