研究課題/領域番号 |
23656049
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
久武 信太郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (20362642)
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研究分担者 |
高原 淳一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90273606)
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キーワード | テラヘルツ / プラズモン / 局在電場 / 分光 / イメージング / センサ |
研究概要 |
本研究は、THz波(100 GHz-10 THz)帯の電磁波を対象に、波長と構造寸法が同程度のいわゆる共鳴領域において特徴的に振る舞う金属周期開口の特性を、その表面に局在する電場の3次元イメージングにより実験的に明らかにし、局在電場モニタ型の物質センサへの応用の道を開拓することを目的としていた。計画ではホモダイン型の従来技術に基づき研究を遂行する予定であったが、計測精度等に問題があることが明らかとなった。そこで、高精度に振幅・位相測定を可能とする(1)自己ヘテロダイン法を提案・完成させ、THz電場の位相と振幅の3次元分布イメージングを達成した。自己ヘテロダイン型であるため、光源の位相雑音はキャンセルされる特長を有する。本手法によりフリーランニングレーザを用いた手法でも高精度かつ高速に位相計測が可能となった。2台のフリーランニングレーザを用いて発生されるTHz波(125GHz)に対して、アンテナ直近から50mmまでの伝搬の様子を可視化した結果、位相計測の標準誤差は0.18 radであることが明らかとなった。本成果は、発生と検出に光技術を用いるTHz連続波計測システムに初めてヘテロダイン検出を導入するもので、電界センシングだけにとどまらず、周波数領域THz分光システム等へも応用が可能で波及効果が大きい。また、(2)前年度までにマイクロ波帯で実証した新しい電界センシングの手法がTHz波帯でも動作することを確認した。さらに、(3)分光イメージング計測に必須となるTHz電磁波の周波数校正法を新たに考案し実証した。(1)から(3)の成果により、高精度・高速にTHz波電場の振幅と位相が計測可能な分光3次元イメージングシステムが完成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画ではホモダイン型の従来技術に基づき研究を遂行する予定であったが、計測精度等に問題があることが明らかとなった。従来手法の延長では問題解決が困難と判断し、目的を達成するために新しい計測手法を提案・実証したため、当初計画から少し進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに完成した3次元イメージングシステムを用いて、メタルホールアレイの近傍電界の振幅と位相分布をイメージングし、局在電場モニタ型の物質センサへの応用を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度までにシステムが完成した。H25年度には、メタルホールアレイを作製し共鳴領域での近接場の振る舞いを実際に計測する。実験で用いるTHz波の波長はmmオーダであるため、現有の工作機械により容易にメタルホールアレイが作製可能となる。繰り越しした研究経費は若干の光学系のアップデートとサンプルの用意、学会・論文等での研究成果の発表のために活用する予定である。
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