研究課題/領域番号 |
23656053
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
財津 慎一 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60423521)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 誘導ラマン散乱 / 中空微細構造ファイバー / 分子位相変調 / 四光波混合 |
研究概要 |
1.中空フォトニックバンドギャップファイバー結合光学系の構築 中空フォトニックバンドギャップファイバー(以下HCPCF)の端面を観察する拡大光学系を構築し、CCDカメラによる中空コア位置の決定を実施した。像転送光学系を組み合わせ、He-Neレーザー入射時にダイクロイックミラー背面から観測することによって、ビーム結合時におけるHCPCF結合効率の最適化を可能とした。2.ガス充填HCPCF封入ラマンセルの設計と改良 これまでに準備していたHCPCF封入ラマンセルを利用した水素ガスを充填するための導入・排気系を構築した。グラファイトベスペルフェラルを利用し、ファイバー側へのリークを抑制する新しいシール機構を考案した。また、窓側へのガスリークを抑制するために、石英窓をガスケットとOリングによって固定するための機構を設計した。これによって、長期にわたって安定した圧力下でガスを封入するHCPCFラマンセルの基礎を築いた。3.可視レーザー・白色光のHCPCF封入ラマンセルへの結合 前述したHCPCF端面観測系を利用し、HCPCFをラマンセル内へ封入した状態で、He-Neレーザー光の結合に成功した。これにより、1で構築した端面観測系の有効性を実証した。また、ファイバー光源よりの白色光を結合するための光学系を構築した。現時点では、白色光の高効率結合は実現できなかったが、次のステップとなる近赤外広帯域レーザー結合への指針を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では1.中空微細構造ファイバーを用いた分子光学変調デバイスの作製、および、2.モード同期レーザーパルス光による分子コヒーレント運動の励起、を予定していた。1については、結合効率が目標値(70%)には達していないものの、概ね計画通りに実施することができた。また、2については、モード同期レーザーパルスによる実験は実施出来なかったものの、H24年度実施予定の光パルス計測用自己相関波形計測系を構築している。以上より、"(2)おおむね順調に進展している"と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度は、計画書に記載した内容に従って、以下の様な研究を進展する。1.モード同期レーザーパルス光による分子コヒーレント運動の励起、2.連続発振光励起分子光波変調の実現、および、3.超高繰り返し光パルス列の観測。1については、ターゲット量子準位として、ノーマル水素を利用し、既設のモード同期チタンサファイヤレーザー(パルス幅: 30 fs、中心波長: 800 nm)を用いた実験を実施する。また、2については、励起光源として波長可変連続発振チタンサファイヤレーザー(ライン幅:<100kHz、出力:~1W、波長範囲700nm~900nm)を用いる。これに加えて、3に関する実験として、非線形検出器を利用する位相計測法、もしくは、 量子干渉を利用した干渉型自己相関波形測定によって、分子位相変調器としての性能を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究費は、主に今年度予定している実験のための必要物品購入に使用する。以下のその項目を列挙する。ラマンセル:中空微細構造光ファイバー、媒質:水素・重水素・SF6ガス、自己相関波形計測系:ビームスプリッタ(近赤外)、光電子増倍管、直流電源(松定プレシジョン)、中空リトロリフレクタ、高性能マイクロステージ、その他光学系・制御系:光学素子保持機構、電子部品(基板・半導体)、ブリュースター分散プリズム、成果報告:論文別づり
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