単一細胞のがん化を診断する技術は、究極のがん早期発見技術と言っても過言ではない。本研究では、低侵襲かつ精密な力学計測が可能な原子間力顕微鏡(AFM)技術を用いて、単一細胞の力学特性から、正常細胞とがん細胞とを区別する手法を開発することを目的とした。(1)AFM細胞診断装置の開発、および(2)正常とがん細胞の力学特性を統計解析する技術の開発を行うことを目指した。23年度は、正立型光学顕微鏡を用いた細胞計測に特化した新しいAFM装置の試作を行った。24年度は、様々ながん細胞に適用できる汎用の細胞マイクロパターン基板の開発を行った。本計測により、細胞弾性率、細胞流動性、およびニュートン粘性係数の細胞数分布を独立に評価できることが可能になった。また、正常細胞とがん細胞の細胞レオロジー変数の細胞数標準偏差は大きく異なり、周波数依存性をもつことが分かった。AFM装置の自動化のためのFPGAプログラム開発を行った。イオンコンダクタンス顕微鏡による細胞表面の動的計測に成功した。
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