研究概要 |
カーボンナノチューブ(CNT)電界エミッタの大振幅自励振動の原因を明らかにするため,透過電子顕微鏡(TEM)および走査電子顕微鏡(SEM)による電界放出(FE)最中の CNT の挙動を調べた。TEM 内では,振動開始条件は電流にも電圧には依存しなく,むしろ CNT エミッタの対向電極に対する相対的な角度が重要であることが分かった。つまり,CNT が電界の作用により 50°以上屈曲する場合に限り、CNT の自励振動現象が観察された。また,振動した CNT エミッタにおいては,振動開始電圧と CNT の直径には比例関係は見出されたが、CNT の長さの効果は見られなかった。他方,磁場強度の弱い SEM の試料ステージに置かれた CNT エミッタにおいては,TEM 中とは異なり,CNT を 50°以上に屈曲させても,自励振動は観察されなかった。これは,CNT の FE 中の自励振動には磁界が深く係わり,CNT を流れる電流と静磁場によるローレンツ力が振動の原因の一つであることを示唆する。
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