研究課題/領域番号 |
23656061
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 裕之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00314378)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | バイオ燃料電池 / 貴金属ナノ粒子 / カーボンナノチューブ / 表面プラズモン共鳴 / 電気化学測定 / レーザー / グルコース |
研究概要 |
本研究ではさまざまな金ナノ構造電極を作製し、その表面でのグルコースの酸化特性を電気化学測定してレーザー光照射効果を定量的に解析する。電極表面の金ナノ構造を最適化し、光照射によるグルコース酸化反応の促進に基づくバイオ燃料電池の発電特性の向上を目的とし、本年度は以下の2種類の実験を進めた。(1)カーボンナノチューブに金ナノ粒子を修飾したナノ構造電極を作製し、レーザー照射によるグルコースの電極酸化還元反応の変化について調べた。金ナノ粒子を修飾していないカーボンナノチューブ電極では、レーザー照射によるサイクリックボルタモグラムの変化は見られなかったが、金ナノ粒子を修飾した電極では、20mWのレーザー照射によって酸化ピーク電流値が1.4倍増加した。金ナノ粒子をカーボンナノチューブに固定した電極では、レーザー光をカーボンナノチューブが吸収することによる温度上昇効果も考えられる。そこでアミノシランカップリング処理をしたITO透明電極に金ナノ粒子を固定化した金ナノ粒子-ITO電極の作製を行った。次年度以降、本電極を用いてグルコースの電極反応に対する光照射効果を解析する。(2)貴金属ナノ構造のサイズ、形状を制御し、電極表面に固定する新たな手法として、可視レーザー光による貴金属ナノ構造作製に取り組んだ。光学顕微鏡下で観察や分光解析が容易な銀を対象とし、銀イオンと還元剤の混合溶液を滴下した基板表面に、緑色レーザー光を集光して、集光点に銀ナノ構造を作製することに成功した。レーザー強度や還元剤の濃度によって、ナノ構造のサイズや分光特性が制御できることも示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カーボンナノチューブに金ナノ粒子を修飾したナノ構造電極にレーザー光を照射することにより、グルコースの酸化ピーク電流を増大させることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
金ナノ粒子のサイズ、形状、密度等を制御したナノ構造電極を作製し、光照射による酸化ピーク電流を向上させる。実際に燃料電池構造を作製し、その発電特性について評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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