グルコースなどの単糖類や多糖類、バイオエタノール等を酵素を用いずに電気化学酸化するバイオ燃料電池機構に光触媒効果を組み合わせ、太陽光とバイオマス、2つの再生可能エネルギーを利用する新しい仕組みのカーボンニュートラルなエネルギー変換技術の原理確認や実験的検証に取り組んだ。電気化学酸化反応に対する触媒効果と、光触媒効果を有する電極として、カーボンペーパーの片面に酸化チタンナノ粒子を、反対面にカーボンナノチューブと金ナノ粒子を修飾したナノ構造電極を開発した。作製したナノ構造電極を用いてメタノール、エタノール、グルコース、アルギン酸溶液に対する電気化学酸化反応やその光照射効果について調べた。いずれの物質に対しても、ナノ構造電極にUV光を照射することにより、酸化電流の増加が観測された。酸化電流が大きく、かつ酸化電位がネガティブ側に現れるよう、金ナノ粒子や酸化チタンの担持量、電極の熱処理時間や温度の最適化を行った。アクリル基板をレーザー加工した筐体に、燃料極となるナノ構造電極とイオン交換膜、空気極となるプラチナ電極を組込んだ燃料電池を作製し、各物質を燃料として用いた時の発電特性を調べた。いずれの物質に対しても、UV光照射により得られる電力が増加し、特にアルギン酸に対しては、金ナノ粒子-カーボンナノチューブ電極を用いた場合に比べ約4倍の電力を得ることに成功した。アルギン酸は大型褐藻の主要構成成分であり、太陽光とバイオマス組み合わせたエネルギー変換技術が極めて有望であることを実証した。
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