研究課題
昨年度に続き壁面との熱の移動を考慮した細管内を伝搬する音波の解析、気体の状態を考慮した数値計算を中心に研究を進め、熱の移動のある系での音響現象の解析、非線形音場の解析を行った。また、分子の動きに立脚した熱音響現象理論の構築を目指し、細管が束になったスタック内の音場について実験と計算を行い、それら結果の比較を行った。具体的には、分子動力学法を音響シミュレーションに応用し、気体―固体表面のミクロな相互作用から生じる熱の移動を考慮した音場解析を行った。計算コストの点から超音波領域での計算を行ったが、音源から気体分子に対して入力された運動エネルギーが壁面へと伝達する様子をシミュレーションにより確認することができた。細管が束になったスタック内の音場の測定については、赤外線カメラでの温度分布測定、レーザドップラ振動計を用いた音場測定、高速度カメラを用いたPIV 解析からの音場測定などの測定手法を用いて音場を観測した。それら実験結果と計算結果との比較を行った。特に、レーザドップラ振動計を用いた音場測定においてはこれまで非常に多数の観測点を必要としたが、物理法則に基づき測定結果を補間する手法を確立し、これまでの手法に比べ観測点を2桁削減することができた。非常に少ない観測点から高精度な音場補間が可能とし、さらに音以外に要因があるノイズの影響を受けにくい測定方法を確立した。実験結果と計算結果との間には類似の傾向を見ることができた。今後、粒子法など分子動力学法より大局的な粒子を想定した解析手法の検討を加え、細大漏らさず現象の解明を進める所存である。
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電子情報通信学会論文誌A
巻: Vol.J97-A, No.2 ページ: 104-111