研究課題/領域番号 |
23656074
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
藤木 淳 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究員 (10357907)
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研究分担者 |
赤穗 昭太郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (40356340)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 4次形式 / 最適化 / 直線度 / 較正 |
研究概要 |
平成23年度の計画は、半正値同次型4次形式の比の和で表される関数の最適化を実現するための準備として、正値4次曲面の凹凸による分類、レイリー商の和で表現される評価関数の最適化の幾何学の構築、そして研究手法の工学的応用として、直線度に基づく画像の歪み補正を行なう予定であった。正値4次曲面の凹凸による分類の研究の歴史は古く、150年程前には既に行なわれているものの、極値を具体的に求めるという最適化問題の大域的最適性はあまり研究されてこなかった。そこで平成23年度は2変数同次型4次曲線の全ての極大値・極小値を求める手法について研究した.代数多項式関数の最適化については、グレブナ基底を用いることによって求めることが可能であることを突き止めたため、グレブナ基底について調査を行ない、今後の研究の方向性を掴むことができた。次にレイリー商の和で表現される評価関数の最適化の幾何学の構築についてであるが、このレイリー商の和で表現される評価関数はコンピュータビジョンにおいて数多く登場する形式の評価関数であるため、その幾何学の構築は急務である.しかしながら、そのヒントとなるであろう可能性が高い半定値緩和による最適化の幾何学についての核心を理解するための研究に留まっている。研究方法の工学的応用としての直線度に基づく画像の歪み補正については、コンピュータビジョンの国内最大のシンポジウム MIRU2011 及び、全方位カメラに関する国際ワークショップである OMNIVIS2011 にて発表することによって国外の研究者と議論を深めたものの、当初の目標である1本の直線からの歪み補正の大域的最適解の保証をするには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2次形式の最適化については良く知られているものの、4次形式についての最適化の理論については、現在、ほとんど知られておらず、それを実現するアイディアがほとんど得られなかった。しかし、4次形式の最適化をグレブナ基底で行なうことが可能であるため、グレブナ基底の理解を深めることが、今後の研究を進める鍵になる可能性があることを見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、当初の予想よりも難しい研究課題であることが今年度の考察によって明らかになってきた。しかし、その手始めとなるであろう、4次形式の最適化に関してはグレブナ基底を用いれば最適化可能であることが突き止められた。そこでグレブナ基底についての理解を深めることによって、クレブナ基底を求める代数的操作による最適化の幾何学的な意味を探る必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の主要部分をグレブナ基底についての情報収集や理解のための旅費や、また所属変更によって外勤で訪問可能であった国際会議を国内出張として参加することになったための旅費として賄う必要が生じた。
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