研究課題/領域番号 |
23656086
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
久保 司郎 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20107139)
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研究分担者 |
阪上 隆英 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50192589)
井岡 誠司 大阪電気通信大学, 工学部, 准教授 (50283726)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 非破壊評価 / 逆問題 / 熱伝導度推定 / フルフィールド計測 |
研究概要 |
人体や機器・構造物およびその要素の状態を把握し、その健全性を把握することは、我々の健康維持、寿命延伸、危機構造物の寿命延伸の上で非常に重要である。健全性の確保および状態把握において、人体や構造物の異常部は、材料特性の変化部として検出できることが多い。しかし、境界上の観測結果から材料特性の分布を推定する問題には、逆問題特有の強い不適切性が内在しており、その解析は容易ではない。本研究の目的は、2次元領域内に熱負荷を与えた時の非定常温度場を全面(フルフィールド)計測し、数理構造解析結果を利用して新たに構築した逆問題解析手法を適用し、熱容量と熱伝導度等の材料定数分布を推定することにより、領域内異常部位を検出する手法を確立することにある。 平成23年度には、本研究の目的である、フルフィールド温度場非接触計測と数理解析援用逆解析による領域内異常部位検出手法に関する基礎的検討を行うため、2次元領域内温度分布の計測結果より、熱伝導度の分布を推定する問題を取り上げた。 まず、2次元領域内の熱容量と熱伝導度が縦方向に一様である場合に対して、1次元的熱伝導度の分布を温度勾配をもとに推定する方法を提案した。 次に、熱伝導度が2次元領域内で変化する板を考え、1次元問題に対する勾配を用いた逆解析手法を拡張適用し、2次元熱伝導度分布を推定した。その結果、大まかな熱伝導度分布が推定できることが分かった。しかし、熱伝導度分布が急変する部分では、推定精度が低下することがわかった。境界条件が推定結果に及ぼす影響を検討した。 推定精度を向上させるため、流線の幅を用いた補正を提案した。また、複数の境界条件下の観測条件を使用することを考えた。これらの手法の適用により、推定精度が向上することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所期の計画に従い、研究は進行しており、大きな変更の必要がないため。
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今後の研究の推進方策 |
所期の計画に従い、研究は進行しており、大きな変更の必要がないが、熱伝導度分布を精度よくまた効果的に推定するため、温度分布の時間的変動の活用、多くの境界条件下の観測結果の同時使用等の方策を中心に検討を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度には、研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額には若干の差があったが、研究計画に変更はなく、平成23年度の研究費も含め当初の予定通り計画を進めていく。 研究費は物品費と旅費に充当する。物品費は、主として数値的検討と計測に必要な消耗品などの購入にあてる。旅費は、研究調査と研究成果発表のために使用する予定である。
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