褥瘡の根本的な発生要因の解明は、介護・看護法の改善に重要な課題となっている。本研究では、臀部の骨-筋肉界面の線維組織の損傷に起因するとの仮説に立脚し、界面ひずみをイメージベース有限要素法により解析し、バイオメカニズム的病因を分析した。脂肪と筋肉の力学的物性値および分量、損傷部位とその大きさ、体位の違いの計7つのパラメータに不確かさを考慮したモンテカルロシミュレーションにおいて、高いひずみ値になるパラメータの組を探索する独自手法を開発した。解析結果より、仰臥位で脂肪量が多い患者で、脂肪と筋肉のヤング率が低い場合に、せん断ひずみによる繊維損傷リスクが特に高まるとの知見を得ることができた。
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