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2011 年度 実施状況報告書

超短パルス高出力フラッシュランプ照射による単結晶シリコン加工変質層の完全修復

研究課題

研究課題/領域番号 23656094
研究機関東北大学

研究代表者

閻 紀旺  東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40323042)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード超精密加工 / 加工変質層 / 単結晶シリコン / フラッシュランプ / 加工欠陥
研究概要

本研究では,サブミリ秒パルス制御の超短パルス高出力フラッシュランプを単結晶Si工作物に照射することで加工変質層を完全な単結晶構造に修復すると同時に,工作物表面に存在した高さ数十nmの加工条痕もnmレベルに平坦化させるする技術を提案している.これにより,材料ロスがゼロ,産業廃棄物のエミッションもゼロのSiウエハ・赤外光学部品製造技術を実現させることを研究目的としている.H23年度では,主に以下の項目について研究を行った.(1)簡易型高エネルギーフラッシュランプ照射装置の構築:パルス幅が1msec以下のフラッシュランプ(パルス制御方式)照射ユニットを現在保有のリニアモータ駆動のXYステージに搭載し,簡易型の照射装置を構築した.また,その基本性能を確認した.(2)材料解析手法を用いた加工変質層微視的構造変化の実験研究:フラッシュランプ照射による加工変質層の結晶構造変化を究明するために,顕微レーザラマン分光光度計および透過電子顕微鏡による照射部の断面観察・分析を行った.その結果,一部の照射条件において変質層が修復されていることを確認した.(3)完全な単結晶表面が得られるための最適照射条件の実験検討:一定の深さ(50nm以下)の加工変質層に対し,照射条件(パルス幅,エネルギー密度,照射距離,照射角度の影響など)と工作物結晶性との関連性を調査した.また,深さ方向に完全な単結晶構造が得られるための最適照射条件を実験的に見出した.  これらの研究成果は,今後より深い加工変質層の修復実験および最適化に対して有用であると考えられる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究目的の達成に向けて,実験装置の構築や実験結果の解析などを行っており,ほぼ研究計画の通りに進展していると考えられる.

今後の研究の推進方策

H24年度では,以下の項目について研究を推進する予定である.(1)分子動力学シミュレーションを用いた加工変質層修復過程の理論解析:フラッシュランプ照射による表層アモルファスSiの溶融・再結晶の過程および下層転位の移動機構を解明するために,分子動力学を用いてSi加工変質層の解析モデルを作成し,照射によるSi原子の温度上昇・溶融・エピ成長および転位の移動・消滅現象のシミュレーション解析を行う.そして,分子動力学解析の結果と実験観察の結果と比較を行うことで,プロセスの最適化および加工変質層のランプ照射修復技術の理論基礎を確立させる. (2)ランプ照射による工作物表面の熱応力・熱変形の計測評価:工作物・ランプ間距離や照射パルス幅,冷却方法等を変化させて照射実験を行い,表面残留応力と熱変形を測定し,残留応力が最小となるランプ照射条件を特定する.(3)加工変質層深さの異なる工作物の高速表面処理への展開:パルス幅制御により処理深さをコントロールし,各種ダイヤモンド砥石による研削加工表面および単結晶ダイヤモンドバイトによる切削面を実験対象として照射実験を行う.特に加工変質層が深く形成されている場合の修復効果および問題点を検証する.

次年度の研究費の使用計画

H24年度の経費は主に単結晶シリコンウエハの購入やその表面加工および透過電子顕微鏡による試料断面観察に使用する予定である.なお,H23年度に未使用額が発生しているが,これは4月支払分であり,すでにH23年度中に執行済みであるため,H24年度での使用予定はない.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] レーザ照射による単結晶シリコン加工変質層の修復2011

    • 著者名/発表者名
      小林史典,閻 紀旺,久保百司,厨川常元
    • 学会等名
      2011年度精密工学会東北支部学術講演会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2011年10月21日

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公開日: 2013-07-10  

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