(1)FDTD法とフーリエ光学を融合することで,高アスペクト微細構造光学応答を,近接場応答に留まらず遠隔場応答としても算出可能な数値演算シミュレータを構築した.これにより,高アスペクト微細構造において支配的な応答が予想されるプラズモン共鳴を起因とした,試料近傍の近接場三次元電磁場ベクトルならびに,試料遠方の遠隔場検出像の両者の解析が可能となった. (2)高アスペクト次世代ナノ微細構造加工表面として,次世代半導体プロセスとして期待されているナノインプリント加工表面を対象とし,内部情報に相当する加工残膜の評価が可能であるか,構築計算機シミュレータならびに,基礎実験により,理論・実験の両面から検討を行った.数値演算により,P偏光入射光において,プラズモン共鳴現象を効率的に励起させることで励振電場をレジスト内部に侵入させることができ,内部残膜厚情報を遠隔伝搬光学情報として取得できる可能性があることが分かった. (3)微細ナノ空間で生成される近接場応答を高分解能で高速検出するための遠隔場検出法を提案し,有効性を検証した.逐次超解像演算を可能とする新概念構造照明を適用することで,回折限界を超越した試料面光エネルギー分布の高速遠隔場取得が可能であることを示した. (4)高いSN比での近接場応答を取得可能なロックイン検出同期型プローブタッピング機構とシアフォース制御を組み込んだ近接場応答検出基礎実験装置を構築し,金コートを施したメタルプローブを用いた基礎実験を行った結果,5%以下のばらつきでプラズモン共鳴近接場光応答の取得が可能となった.提案手法の実践的な有効性を検証するため,開発手法を実際のナノインプリント残膜測定へ適用した結果,従来,断面を切りだした後,電子顕微鏡(SEM)観察を行わないと評価が困難だった,10nm厚内部残膜と50nm厚内部残膜の非破壊弁別に成功した.
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