本研究は,ブラスト加工時の発光現象を明らかにして,ブラスト状態のモニタリングを試み,さらにモニタリングのためのセンサを実現しようとするものである.ブラスト発光のセンシングにはガラスが有力であることが分かったので,ガラスの成長方法について検討を加えた. ブラスト加工時の脆性破壊による新生面での酸化が発光に関係するようであり,このような現象を利用できるガラスの作り方を詳細に検討した.ガラスを生じる反応性液体中に配置したシリコン,ステンレス鋼,インジウムなどの光吸収基板材料へレーザを照射することで,微小ガラス構造体の成形を試みた. Ar+レーザを使用し,反応性液体にはゾルゲルガラス溶液およびポリシラザンを検討した.ゾルゲルガラス溶液を用いて出力20Wのレーザを60秒間照射したところ,直径0.4mm,高さ4.1~8.0mmの白色のガラスピラーを成形できた.この時のフルエンスは780kW/cm2,スポット径は53μmであった.次いで,ガラスピラーの透明性を改善するために,ポリシラザンを用いて出力2.5Wのレーザを240秒間照射すると,直径450μm,高さ800μmの煤けたガラスピラーを成形できた.このとき,フルエンスは98kW/cm2,スポット径は53μmであった. ゾルゲルガラス溶液によるガラスピラーをSEMで観察すると,直径1.9μm程度の穴が多く存在する多孔質体であった.EPMAにより成分分析したところ,基板材料の構成元素は認められなかった.またポリシラザンによるガラスピラーには気孔は認められず緻密に観察された. 基板材料の所望の位置にレーザ照射することでガラスピラーを作ることができ,センサ実現に大きく踏み出したと言える.今後,ガラスピラーに所望の元素をドープする技術課題を明らかにする必要がある.
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